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概要:米金融当局の次の政策措置を巡り、地区連銀総裁2人が異なる見解を示した。重鎮のニューヨーク連銀総裁がインフレ抑制には追加利上げが必要となりそうだとの考えを示唆したのに対し、今年就任したばかりのシカゴ連銀総裁は利上げ停止が適切になるかもしれないとのシグナルを発した。
ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁
Photographer: SeongJoon Cho/Bloomberg
一方、シカゴ連銀のグールズビー総裁は金融ストレスに伴う与信状況の引き締まりが経済に及ぼす影響を評価する上で「慎重さと忍耐」を呼び掛けた。利上げを当面見送ることが必要になるかもしれないとの考えを米金融当局者として真っ先に示唆した形だ。
グールズビー総裁はエコノミック・クラブ・オブ・シカゴ主催のイベントで、「こうした金融面での向かい風について不透明感が強い点を踏まえると、われわれは慎重であらねばならない」と語った。
その上で、「インフレを押し下げる上でこの逆風がどの程度、当局の取り組みを後押しするのかが分かるまで、さらなるデータを集め、過度に積極的な利上げには慎重であるべきだ」と述べた。同総裁は今年の連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持つ。
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シカゴ連銀のグールズビー総裁
Source: Bloomberg
ウィリアムズ総裁はヤフー・ファイナンスとのインタビューで、年内にあと1回利上げを行い、その後休止するというFOMCが3月に示した予測について、道筋は今後入手する経済データ次第ではあるが「妥当な出発点」だとの見解を明らかにした。
さらに、「インフレを確実に押し下げるために必要なことを行わなければならない」と発言。インフレは鈍化しつつあるものの、依然として米金融当局が目指す2%を大きく上回っていると同総裁は話した。
3月のFOMC会合では、政策金利が2023年末時点で5.1%になるとの予測(中央値)が示された。これはあと1回の0.25ポイント利上げを示唆する。一方、投資家は5月の次回会合で利上げが実施された後、年内に利下げに転じると予測している。
ウィリアムズ総裁はこうした市場の予測について、リセッション(景気後退)に加え、大半の当局者の予想よりも急激なインフレ鈍化を見込んでいることが反映されていると指摘。「インフレ鈍化の兆候は見られるものの、なお非常に高い水準にある」とし、「住宅を除くコアサービスインフレの一部にはまだ動きがみられず、インフレを2%に戻すのはなお大変な仕事だ」と語った。
グールズビー総裁は、インフレと労働市場のデータは昨年末と今年初めに「驚くほど力強かった」ものの、シリコンバレー銀行(SVB)破綻とその後の金融市場のストレスの波及効果が金融当局の景気抑制の取り組みを後押しする可能性があると指摘。「われわれはインフレ抑制のため金融状況を引き締めてきた。このため、最近の銀行問題への反応が金融の引き締まりにつながる場合は金融政策の取り組みを減らす必要がある」と説明した。
ただ同総裁は、当局は引き続き物価圧力の抑制という責務を優先すべきだともコメントした。
このほか、フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は「金融政策措置の効果が完全に経済に行き渡るには最大1年半かかることもあり、仮に必要であれば、どのような追加的措置を取らなければならないか、入手可能なデータを引き続き注視する」と話した。
総裁はフィラデルフィアでの講演テキストで、「金融当局としてインフレ率を2%の目標に押し下げることに完全にコミットしていることは間違いない」とも指摘した。
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