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概要:スタグフレーションに陥った1970年代にはやった投資戦略が金融市場に戻ってきた。中央銀行が経済成長を支えるために利下げに軸足を移し、根強いインフレ圧力との闘いに見切りをつけるとみられていた矢先、原油の供給制限という新たな衝撃でインフレに拍車が掛かりかねない状況だからだ。
スタグフレーションに陥った1970年代にはやった投資戦略が金融市場に戻ってきた。中央銀行が経済成長を支えるために利下げに軸足を移し、根強いインフレ圧力との闘いに見切りをつけるとみられていた矢先、原油の供給制限という新たな衝撃でインフレに拍車が掛かりかねない状況だからだ。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)発生以後、物価上昇の持続力に何度も窮地に追い込まれてきた投資家は、インフレに油断することなくガードを固めている。石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の主要産油国で構成する「OPECプラス」による協調減産決定を受けて原油価格が上昇しており、世界経済の新たなリスクになり得る。
ステート・ストリート・グローバル・マーケッツのマルチアセット担当シニアストラテジスト、マリヤ・ベイトメーン氏はブルームバーグテレビジョンで、「まただ。市場に新たな問題が放り込まれた」と述べた上で、「中央銀行にとって難易度が一段と増している。インフレとの闘いは終わっていない」と語った。
投資家がインフレヘッジに資金を投じる中、最もパフォーマンスの高いアセットクラスは、オイルショック(石油危機)で物価が押し上げられた1970年代のそれと似通いつつある。
マイケル・ハートネット氏率いるバンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジストらは、年初来リターンが最も高い資産クラスに金や小型株、新興国市場資産が含まれている点を指摘した。
2023 Asset Class Performance Echoes 70s Playbook
Year-to-date ranked returns in USD-terms
Source: Bank of America
ゴールドマン・サックス・グループのポートフォリオ戦略向け資産配分責任者、クリスチャン・ミュラーグリスマン氏は「向こう数年はインフレのボラティリティーが一層高まる可能性がある」とし、短期のインフレ連動債(TIPS)がヘッジ手段になるとみている。「インフレリスクの分散につながるため、戦略的配分ベースにおける実物資産への配分を拡大するケースを強化するものだ」と解説した。
産油国がサプライズ減産に動く前から、シリコンバレー銀行(SVB)破綻に端を発した米地銀を巡る懸念によってマクロ経済シナリオは大きく変化していた。トレーダーは米金融当局が利上げをあと数回行うと予想していたが、年内に積極的な利下げに転じるとの見方になっていた。
プルリミ・ウェルスのパトリック・アームストロング最高投資責任者(CIO)はインタビューで、「米金融当局は物価の安定よりも金融の安定を優先する公算が大きい」とした上で、米国の金融緩和状態がやや過剰になると分析。「これにより次のインフレの波の種がまかれることとなる」との見方を示した。
同氏は、世界的なインフレは根強く、日本銀行はイールドカーブコントロール(YCC)政策を解除せざるを得なくなるとの予想に基づいて日本の10年物国債を空売りしている。資源国通貨がインフレヘッジの役割を果たし得ることを踏まえると、特に南アフリカ共和国やメキシコ、ブラジルといった新興国市場のTIPSにも投資妙味があるという。
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