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概要:生物多様性を対象にした戦略を提供するファンドマネジャーが、2カ月間で資産ベースを15%拡大している。標準化されたデータがないという課題がある中、資産運用業界で新たなESG(環境・社会・企業統治)市場が形成されている。
生物多様性を対象にした戦略を提供するファンドマネジャーが、2カ月間で資産ベースを15%拡大している。標準化されたデータがないという課題がある中、資産運用業界で新たなESG(環境・社会・企業統治)市場が形成されている。
モーニングスター・ダイレクトによると、そうした戦略を提供するファンド本数は昨年、150%の伸びを見せた。もっともESG戦略の市場規模に比べると、生物多様性の規模は依然として小さく、同社の推計では2月末時点の資産規模は計29億ドル(約3800億円)にとどまる。
モーニングスターによれば最大規模の「新顔」がノーザン・トラストのパッシブ運用ファンドだ。ただ圧倒的大多数は、欧州のアクティブ運用。欧州では、生物多様性に関する初期段階の規制がもっとも進んでいる。
アクサ・インベストメント・マネジャーズやロンバー・オディエ・インベストメント・マネジャーズはいち早く参入した運用会社で、今もトップ3に入る。
フェデレーテッド・ハーミーズのインパクト・サステナブル投資責任者兼インターナショナル・リード・ポートフォリオ・マネジャーを務めるイングリッド・ククルジャン氏は、「われわれが見ている生物多様性での動きは、炭素で見てきた10倍の速さだ」とコメント。「われわれが直面している最大のシステミックな脅威だから無理もない」と述べた。
昨年12月に開かれた国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で画期的な合意がなされて以来、金融業界は生物多様性に注目せざるを得ない状況だ。約200カ国が署名した「生物多様性枠組み」では自然保護のために少なくとも毎年2000億ドルを動員する目標に向け、銀行や保険会社、運用会社が中心的な役割を果たすことが想定されている。
ブラックボックスの計算
もっとも現状は、信頼できる生物多様性関連のデータが不足しているという大きな障害が横たわったままだ。
生物多様性に関わるパートナーシップ「PBAF」のプログラムマネジャーで、オランダのコンサルティング会社CREMのパートナー、ウィナンド・ブルール氏は、企業は「ブラックボックスの計算」にはまるリスクがあると指摘。
「生物多様性関連データ市場に参入するデータ提供会社はますます増えているものの、基本的な前提が必ずしもはっきりしていない」と話す。
こうしたデータ関連のリスクは、炭素排出量の測定方法が確立された気候変動関連のポートフォリオに比べ、はるかに大きいとブルール氏は指摘する。PBAFが市場に流通している一部データを分析したところ、データ提供会社のアプローチの違いによって「非常に異なる結果がもたらされる可能性がある」ことも明らかになったという。
トレードオフ
金融業界の重点が投資リターン獲得に置かれており、生物多様性に求められる支援との両立が難しい可能性を示唆する調査結果も現状では見られる。
非営利団体ECGIの最近の研究では、2020年から22年にかけ匿名の運用マネジャーによる33件の生物多様性に関連したファイナンスを調査。多くの場合「金銭的リターンと生物多様性へのインパクトのトレードオフがある」ことを明らかにした。
「収益性の高いプロジェクトの場合、純粋な民間資本で資金を調達し得るが、生物多様性へのインパクトは低下する傾向がある。生物多様性へのインパクトが大きいプロジェクトの場合、収益性が低くなりやすい」。コロンビア大学教授のキャロライン・フラマー氏ら同研究リポートの執筆者はこう指摘している。
民間資本については「ツールボックスへの有益な追加」となり得るものの、「効果的な公共政策の代替となる可能性は低い」との見方を示した。
それでもなお生物多様性の損失を無視することに伴う現実世界のリスクは次第に明白になってきており、金融関係者は近く危機について理解を深めることになる、とPBAFのプログラムディレクターでASN銀行の生物多様性責任者、ロエル・ノゼマン氏は言う。
生物多様性枠組みの各国での取り組みには、モニタリングや情報開示を巡る目標も含まれており「市場が見過ごしている多くのことが表面化する」と同氏は指摘。「こうした多くのリスクが顕在化することにより、行動の変化が期待される」と話した。
一方、フェデレーテッド・ハーミーズで4500万ドルの生物多様性ファンドを運用するククルジャン氏は、もはや運用会社は思いとどまっている状況ではないと指摘。
「これまでは指標がないとの言い訳がなされてきた。非常に複雑なテーマだが、多くの利用可能なデータがあり、それをコンテクストに当てはめるだけでよい」と話している。
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