過去最大のプライベートクレジット案件、金利の５割繰り延べ可能か

2023年3月8日 13:21 JST

プライベートクレジット企業が契約獲得向け譲歩－コティビティ案件

ＰＩＫを最長２年間提供する方向でカーライルなどと協議－関係者

ヘルスケアテクノロジー企業コティビティのレバレッジドバイアウト（ＬＢＯ）用の55億ドル（約7550億円）のローンで、金利の５割を繰り延べる合意ができそうだ。事情に詳しい複数の関係者の話で分かった。この件はプライベートクレジット企業がファイナンスをアレンジする買収案件として過去最大。

プライベートクレジット企業は業界の転換点となるこの案件での業務獲得に向けた譲歩策として、コティビティを買収する米カーライル・グループなどに、新規債券で利息を支払う「・・（ＰＩＫ）」という借り手に有利な選択肢を最長２年間提供する方向で協議している。利払いを２年間繰り延べられることになる。

プライベートクレジットが躍動、銀行にはまねができない裏技駆使

アポロ・グローバル・マネジメントやブラックストーン、ＨＰＳインベストメント・パートナーズ、オーク・ヒル・アドバイザーズで構成する貸し手グループはコティビティに、必要に応じて目先の利払い負担を軽減してキャッシュフローを最大化できる柔軟性を提供する考えだ。関係者が部外秘だとして匿名で語った。

オルタナティブな貸し手にとってＰＩＫは、買収を行う企業との交渉でかなり有利な材料になる。こうした企業はウォールの銀行からもファイナンスの提案を受ける。

レバレッジドローンや高利回り債市場でＰＩＫの要素を取り入れた数十億ドル規模の新規案件はかなりまれだ。これらの市場では投資銀行が最終的にシンジケート団を組む。めずらしいファイナンス手法への関心はプライベートクレジット企業と金融機関の両方で高く、買収を行う企業は有利な条件での借り入れが可能になっている。

カーライル、アポロ、ＨＰＳ、オーク・ヒルはコメントを控えた。ブラックストーンに取材を申し込んだが返答はなかった。