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概要:[26日 ロイター] - 今年1月18日、日銀は全員一致で現在の金融政策運営の維持を決めた。また、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)のパネル討論で、黒田東彦日銀総裁は改めて金融緩和継続の必要性を強調した。
[26日 ロイター] - 今年1月18日、日銀は全員一致で現在の金融政策運営の維持を決めた。また、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)のパネル討論で、黒田東彦日銀総裁は改めて金融緩和継続の必要性を強調した。
今年1月18日、日銀は全員一致で現在の金融政策運営の維持を決めた。また、ダボス会議のパネル討論で、黒田日銀総裁は改めて金融緩和継続の必要性を強調した。しかし、市場参加者はこれらを額面通りに受け止めてはおらず、大規模緩和の修正観測がくすぶり続けている。内田稔氏のコラム。
しかし、市場参加者はこれらを額面通りに受け止めてはおらず、大規模緩和の修正観測がくすぶり続けている。昨年12月20日、日銀は突然、長期金利の変動許容幅を拡大した。1月18日の記者会見でも、黒田総裁は金融当局と市場が「全く同じ考えである必要はない」と発言した。
こうした経緯から、政策金利に関する「現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している」とのフォワードガイダンスは完全に形骸化した。短期的には、日銀が拡充を決めた共通担保資金供給オペにより、金利上昇は抑制されそうだが、金利の先高観は根強い。それとともに為替市場でも先々の円高を見通す声が勢いを増してきた。
<台頭するYCC撤廃観測>
岸田文雄首相は1月22日に黒田総裁の交代を明言し、後任の人事案を2月にも国会へ提示する見通しを示した。今後、新しい総裁の下で、政府との共同声明も見直されよう。「できるだけ早期に実現することを目指す」とされている2%の物価安定目標について、達成時期が中長期的な目標に置き換えられ、目標自体も「2%程度」とされるなど、総じて日銀の自由度が高まりそうだ。
その後も緩和スタンスは原則として維持される見込みだが、イールドカーブ・コントロール政策(YCC)の撤廃観測も台頭してきた。変動幅の拡大以降も債券市場では機能度が十分に改善したとはみられていない上に、日本経済の需給ギャップが解消されつつあるとの試算を日銀が示しているからだ。
<長期金利、1%程度は想定すべきか>
仮に、YCCが撤廃された場合、長期金利がどの程度まで上がるのか。日米の10年物国債利回り(長期金利)は一定の相関を保ちながら共振するため、量的質的金融緩和の開始からYCC導入までの期間が参考になる。
簡便的にその間の米長期金利を説明変数として、日本の長期金利の水準を推計すると、3%台半ばで推移する足元の米長期金利に対応する日本の長期金利は1%程度となり、日米金利差は2%台半ばまで縮小する計算だ。
さらに、ドル/円がピークアウトした昨年11月以降の日米金利差とドル/円との関係に照らせば、2%台半ばの金利差に対応するドル/円は120円程度となる。実際にYCCが撤廃されれば、短期的にはここに強いドル安・円高期待が加わるとみられ、その場合、120円割れの攻防もみられるかもしれない。
<乏しい円金利上昇の持続性>
もっとも、景況感の悪化を受けて米金利の低下観測がくすぶる中で、円金利だけが上昇し続けるわけではないだろう。為替ヘッジコストが高騰した結果、本邦投資家からみたヘッジ付き外国債券への投資妙味も薄れており、利回り上昇局面(債券相場の下落局面)では円債需要も高まりそうだ。
加えて、先進国の中で最も長期金利が低いスイスでさえ、現在1.2%台で推移している。短期金利を含め、日本の金利が最低水準に位置する限り、金利差が逆ザヤとなる他通貨売り・円買いのポジション保有は、短期間での円高進行が期待される場面に限られる。
相場は不透明感を警戒するのが常であり、日銀の正・副総裁人事やそれに続く政策変更の有無、内容を見極めるまでの間、ドル/円の下値不安は強いだろう。しかし、そうしたイベントを通過した後も、投機筋が円金利上昇と円高へのアタックを続けるとは考えにくく、むしろ材料出尽くし感から円高圧力もかなり減衰するとみられる。
<さえない円の実力>
日銀を巡る先高観を除くと、円を取り巻く環境は依然としてさえない。2022年の年初から11月までの日本の対外直接投資(ネット)を累計すると、円建てでは約20.5兆円と前年比で横ばいを保ち、ドル建でみた減少幅も2割程度にとどまる。歴史的な円安が進み、対外投資の割高感が意識された割に、本邦勢の対外直接投資意欲は依然として旺盛だ。
また、日本の貿易収支も引き続き高水準の赤字が続く見込みだ。回転売買の結果、出来高が膨大な規模に膨らむ投機筋の出来高と異なり、これらは一方通行に近いコンスタントな円売りであり、中期的な相場形成にも影響力を持つ。
実質実効為替レートに照らせば、依然として円は割安であり、いくらか持ち直しも見込めるが、それでも投機筋の円買いを除き、持続的な円高材料を見出しにくい。従って、ドル/円がこのまま下落基調をたどとすれば、それは「円高」ではなく、もっぱら「ドル安」によるものだろう。
<カギは米インフレの粘着性>
そこで、ドルの状況をみておこう。米国経済については、景気後退入りが懸念されており、2月の米連邦公開市場委員会(FOMC)における利上げ幅も25bpにとどまるとの見方がコンセンサスとなっている。ドル指数も昨年9月のピーク時に比べ、約11%も下落。インフレがこのまま鎮静化に向かうとの見方から続落も見込まれる。
しかし、クリーブランド地区連銀が公表しているインフレの事前推計値(インフレーションナウキャスティング)によれば、前年比でみた1月の米消費者物価指数(CPI)の伸びはヘッドライン、コアがそれぞれ6.4%上昇、5.6%上昇とされており、伸びの縮小に歯止めがかかりつつあることを示している。米国のインフレは幅広いサービス価格の上昇を伴っており、粘着性を備えている。
これに対し、ユーロ圏でも10月をピークに物価の伸びが縮小に転じてきた。資源価格の高騰と自国通貨安がユーロ圏のインフレの主因であることに照らせば、欧州中央銀行(ECB)のタカ派姿勢が、そういつまでも続くわけではないだろう。
こうした米国とユーロ圏とのインフレの本質的な違いが次第に意識されていくに連れ、外為替市場で最大の出来高を誇るユーロ/ドルの上値が重くなり、それととも共にドルも持ち直しに転じる公算が大きい。
<シナリオ再考は必要か>
前回の本稿では2023年のドル/円に関し、メインシナリオとして予想レンジ128円─143円を示した。「年初から春先にかけて、米利下げ期待や日銀の緩和修正への思惑から130円を割り込む」ものの「米国のインフレの粘着性と日銀の緩和継続姿勢とが次第に意識され」、ドル/円が持ち直すとみたためだ。
実際にはその後、127.22円まで下落しており、年末まで一貫してドル安・円高が進むとしたリスクシナリオの採用を検討すべきかもしれない。
しかし、これまでみてきた通り、日銀の政策変更を見込んだ円高が長期的なトレンドを形成するとは考えにくく、円の実力からして持続的な円高までは想定しにくい。また、米国のインフレも粘着性を帯びており、このまま金利低下とドル安が続くとは考えにくい。
2─3円の下方修正は必要となったが、米国が利下げに転じたり、日銀が極端な正常化へと進まない限り、春先にかけて軟化した後、ドル/円が持ち直すメインシナリオの維持が現時点ではまだ妥当と映る。
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