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概要:[ロンドン 17日 ロイター] - 英国の昨年9─11月の賃金は大きく上昇した。物価動向を見る上で賃金に注目するイングランド銀行(英中央銀行)がインフレへの懸念を強める可能性がある。 英国立統計局(
[ロンドン 17日 ロイター] - 英国の昨年9─11月の賃金は大きく上昇した。物価動向を見る上で賃金に注目するイングランド銀行(英中央銀行)がインフレへの懸念を強める可能性がある。
英国立統計局(ONS)が17日発表した統計によると、9─11月の賃金(ボーナスを除く)は前年同期比6.4%増。ロイターがまとめたエコノミスト予想(6.3%増)を上回り、ロックダウン(都市封鎖)や政府の支援措置で統計にゆがみが生じた新型コロナウイルス流行時を除けば2001年の統計開始以来最大の伸びとなった。
ボーナスを含んだベースでも6.4%増加し、市場予想(6.2%増)を上回った。
9─11月の失業率は3.7%と前月から横ばいで、約50年ぶりの低水準付近にとどまった。大半のエコノミストの予想と一致した。
英中銀は来月、10回連続の利上げを決めると見られている。市場の関心事は、利上げ幅が縮小するかどうかだ。ベイリー総裁は16日の議会証言で、エネルギー価格の下落に伴いインフレ率は今年大幅な低下が見込まれるものの、労働力不足がこのシナリオに対する大きなリスクになるとの認識を示している。
パンテオン・マクロエコノミクスのエコノミストは、9─11月のデータを受け、英中銀には来月、利上げ幅を縮小せず50ベーシスポイント(bp)追加利上げの圧力が掛かると指摘した。
統計では、賃金の伸び率は民間部門が前年比7.1%で公的部門の3.3%を大きく上回った。格差の背景には、公的部門は賃上げを巡り政府と対立していることがある。統計局によると、ストライキによる労働喪失日数は11月に再び増加。6─11月の6カ月間の喪失日数は過去約30年で最多だった。
<物価高で帳消し>
賃金の上昇加速にもかかわらず、物価高で家計の購買力は低下している。
消費者物価指数(CPI)で調整した総賃金は前年比3.9%減少で、2009年以来の大幅な減少だった。
加えて雇用逼迫(ひっぱく)が緩む兆しもある。10─12月の求人は前年比8万5000件減少。前年比での減少は21年初め以来、2回目だ。
職に就いておらず就業意欲もない人の割合である不就労率は21.5%。前の3カ月から0.1%ポイント低下したが、新型コロナウイルスのパンデミック直前を1.3%ポイント上回った。
パンテオン・マクロエコノミクスのエコノミストは、労働市場の緩和の兆しが賃金の伸び鈍化につながると英中銀が考え、3月で利上げを終わらせる可能性もあると指摘した。
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