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概要:[東京 12日 ロイター] - 日銀は12日に公表した地域経済報告(さくらリポート)で、全9地域中、北陸・関東甲信越・近畿・九州沖縄の4地域について判断を引き上げた。政府の「全国旅行支援」などでサービ
[東京 12日 ロイター] - 日銀は12日に公表した地域経済報告(さくらリポート)で、全9地域中、北陸・関東甲信越・近畿・九州沖縄の4地域について判断を引き上げた。政府の「全国旅行支援」などでサービス消費が回復したことが要因。賃上げを巡っては、機運は盛り上がっているものの、コスト高の価格転嫁が完全にはできていない中でどの程度広がるかまだ見通せていないとの支店長の声が聞かれた。
供給制約の影響が緩和し、新型コロナウイルスの感染抑制と経済活動の両立が進むもとで、多くの地域が「持ち直している」、「緩やかに持ち直している」と判断した。残る5地域の判断は据え置いた。
需要項目別に見ると、個人消費は東北・北陸・関東甲信越・東海・近畿・九州沖縄の6地域で判断を引き上げ。同日の支店長会議では、全国旅行支援の後押しもあり国内旅行需要が増加しているほか、外出機会が増えて衣料品などの販売も増加基調にあるとの報告が多かった。円安の影響もあって、インバウンド需要が持ち直しているとの指摘も多かったという。
値上げが広範に及び、消費者の節約志向の強まりを示す事例の報告もみられたが、全体としては、値上げ後も売り上げは堅調または底堅いとの報告が多かった。
生産は九州沖縄の1地域が判断を引き上げた。供給制約の影響が和らぎ、基調として増加している。ただ、スマートフォン・PC向けの半導体などについては、海外需要の減少で生産調整が続いているとの指摘があった。
輸出産業のウエートが大きい東海地方は「足踏み状態となっている」との判断を据え置いた。中島健至・名古屋支店長は会見で、半導体を中心に部品や部材の調達が依然として不安定で計画通りの生産ができていないが、安定調達に向けた企業の取り組みも継続しており「今年いずれかのタイミングで生産活動が軌道に復する局面が訪れる」との見通しを示した。自動車の需要は引き続き強いとしている。
<高まる賃上げ機運、広範な波及は「まだ確信得られず」>
持続的・安定的な物価目標の達成に向け、今年は企業の賃上げ動向が重要なポイントになる。さくらリポートでは所得について、北海道・関東甲信越・近畿・中国の4地域が判断を引き上げた。支店長会議では、堅調な企業業績を背景に人手不足感の強まりや物価上昇を踏まえ、冬季賞与を増やした例や、春に向けベアの実施や拡大を検討する動きが進んでいる事例についての報告が多かったという。
中島名古屋支店長は賃上げについて「例年以上に前向きな企業経営者が多い印象」と述べる一方、中小企業の経営者からはコスト上昇分の価格転嫁がなかなか進まず、賃上げは難しいといった声も聞かれると指摘。「幅広い企業規模で全て賃上げが実現するか、そこまでの確信は得られていない」とした。
(和田崇彦 編集:田中志保、青山敦子)
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