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概要:リモートワークではお互いの様子が見えないため、上司は部下がたとえ行き詰まっていても察知しづらいものです。困り事を抱え込まず周囲に助けを求める「ヘルプシーキング」を促すにはどうしたらよいのでしょうか?
insta_photos/Shutterstock
年が改まり、新しい組織・チームでスタートを切った方もいらっしゃると思います。
上司と部下、チームメンバーの組み合わせが変わり、まだ関係が築かれていない段階では、うまく噛み合わないこともありますよね。
特に、新人や若手メンバーが上司や先輩に対して「相談を持ちかけられない」「必要な助けを求められない」状況に陥るケースはありがち。それが積み重なると、業務上のトラブルやメンタルの不調を引き起こすおそれもあります。
しかも、リモートワーク環境下では、上司は部下が行き詰まっている様子を察知しづらいものです。
「相談してこないから大丈夫だろう」と思っていたら、いつの間にか部下が限界まで追い詰められていた……などということもあります。
そこで重要なのが「ヘルプシーキング」の行動習慣です。
「シーキング」とは、「探し求める」「見つける」の意。ヘルプシーキングとは、困りごとを一人で抱え込まず、周囲に助けを求めることを指します。
リモートワーク時代、このヘルプシーキングが「必要なスキル」と考えられるようになっています。
部下の皆さんにとっては、自らヘルプシーキング行動を起こすことが大切ですし、上司の皆さんには、部下がヘルプシーキング行動を起こしやすい体制・環境をつくっていただきたいと思います。
どのような工夫ができるか、私自身の経験も踏まえてお伝えします。
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ヘルプシーキングを促すために上司が心がけたいこと
まず、上司の皆さんに、部下がヘルプシーキング行動を起こしやすくするためのヒントをご紹介します。
部下が相談しやすいよう「余白」を設けておく
部下はなぜ上司に相談を持ちかけられないのでしょうか。おそらく、こう考えている部下は多いと思われます。
「すごく忙しそうだから、話しかけたら迷惑なんじゃないか」
ご自身の姿を客観視してみてください。
オフィス内で、常に切羽詰まっている姿を部下に見せていませんか? チームの共有カレンダーに、びっしりと予定を詰め込んでいませんか?
私がリクルートで営業部門のマネジャーを務めていた頃、心がけていたのは「雑談タイムの確保」でした。
戦略の策定など集中して考える仕事は朝早い時間帯、クライアント訪問は昼間の時間帯に。そして夕方の時間帯は、アポイントや打ち合わせなどは入れず、雑務を中心にして、「いつでも話しかけてOK!」という余裕のオーラを出すことを意識していました。
つまり、「余白」「あそび」と言える時間をつくっておくのです。
すると、メンバーは気軽に話しかけてきてくれました。質問や相談をはじめ、「今日、お客様のところでこんなうれしいことがあった」などちょっとした報告もしてくれたりして、個々の状況や成長をつかめたのです。
今はリモートワークですが、「相談対応タイム」を確保しています。チャットツールに私への相談専用スレッドを設け、「アポイントの合間に必ずチェックするので遠慮なく投稿しておいてね」と伝えています。
そして日に数回スレッドの投稿を確認して、相談に返信。場合によっては電話して詳細を確認したり指示を出したりします。
この仕組みによって、オフィスで働いていた頃にはなかった効果も得られました。他のメンバーがスレッド内の相談内容を見て、私の代わりに回答やアドバイスを返信してくれているのです。私が対応するまでもなく、メンバー同士で解決されています。
もちろん緊急度&重要度の高い事案は別のスレッドにするなどして、今すぐの回答は必要ないような「報告・連絡・相談」したいことを書いてもらうようにしています。
このように、課題を共有し、協力して解決できることは、個々の学びやチームワークの強化にもつながるので、思いがけないメリットでした。
「どんなことでも受け止める」スタンス
部下が上司に相談できない理由として、こんな心理もあるのではないでしょうか。
「こんなつまらないことで相談してくるなよ、と思われそう」
「それくらい自分で考えてやれ、と言われそう」
このような不安を抱かせないようにするためには、まず上司が「どんなことも受け止める」スタンスを見せることが大切だと思います。
内心では「つまらないことを聞いてくるなぁ……」と呆れていたとしても、それを顔や口には出さない。ちゃんと受け止めて答える。
私自身も、質問や相談を受けたら「ありがとう」と返すようにしていました。「私を頼ってくれてありがとう」という気持ちを表明するのです。これを初期の段階で意識することで、部下の心理的なハードルが下がれば、安心して相談してくれるようになるものです。
つまりは、この連載で何度もお話ししてきた「心理的安全性」が高い状態をつくることが大切なのです(心理的安全性のあるチームづくりの方法については、この連載の第24回も参照してみてください。
相談・質問に対し、部下自身の考えを問う
さて、「どんな質問でも受け入れるスタンスが大切」とお話ししましたが、「こんなことまで聞いてくるの?」という相談が、いつまで経っても続くようでは困りますよね。
そこで、質問・相談を受け入れたうえで、「あなたはどうしたい?」「あなたはどう思う?」と、自身で考えさせることをお勧めします。
上司や先輩に相談を持ちかけると、「あなたはどうしたい?」と聞き返されるのは、リクルートに古くから根付いている文化です。
私も新人時代、上司に相談に行くと、必ず「あなたはどうしたいの?」と聞かれました。毎回聞かれるので、「きっとまた聞かれるだろう」と、自分なりに仮説を準備してから相談するようになりました。
私もマネジメントを担うようになってから、メンバーに「あなたはどうしたい?」「あなたはどうしようと考えている?」と問うようにしていました。
すると、「お客様からのこういう問い合わせに、何と返信すればいいですか?」→「私はこういう内容で返信しようと思いますが、いいでしょうか?」というように、相談の仕方が変わっていきました。
こうした一言の声がけが、部下が自分の頭で考える習慣付けにつながると思います。
部下として「ヘルプシーキング」のスキルを磨く
では、あなたが部下の立場である場合、ヘルプシーキング行動力をどのように高めればいいのでしょうか。
まず、先ほど上司側向けにお話ししたとおり、上司や先輩に対して漠然と質問や相談をする前に、「自分はどうすればいいと思うか」「自分はどうしたいか」を考えてみてください。
「こんなことで困っています。私はこのように対処しようと考えていますが、他にいい方法はありますか」
そんな相談の仕方であれば、上司や先輩は比較的スムーズにジャッジや回答ができるはずです。
もう一つ、ヘルプシーキングがしやすい関係をつくる秘訣があります。
上司や先輩があなたに対し、「もっと教えてあげたい」「助けてあげたい」というモチベーションが高まるようにするのです。具体的には、
素直な姿勢でアドバイスを聴く
教わったことを、すぐに実行に移す
教わったことを実行した結果、どんな成果につながったかをきちんと報告し、お礼を言う
上司や先輩にしてみれば、自分の言葉が相手に響いていると感じられるとうれしいものです。ですから、質問や相談に対して返してもらったことに、しっかりとリアクションをとっていきましょう。
「可愛げがある」と思われると、何かと得です。
上司や先輩は、あなたに対して「教えるのが楽しい」「成長を見るのがうれしい」という感情が湧いてきて、どんどん助けてくれるようになるでしょう。
※この記事は2022年4月4日初出です。
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森本千賀子:獨協大学外国語学部卒業後、リクルート人材センター(現リクルートキャリア)入社。転職エージェントとして幅広い企業に対し人材戦略コンサルティング、採用支援サポートを手がけ実績多数。リクルート在籍時に、個人事業主としてまた2017年3月には株式会社morichを設立し複業を実践。現在も、NPOの理事や社外取締役、顧問など10数枚の名刺を持ちながらパラレルキャリアを体現。2012年NHK「プロフェッショナル〜仕事の流儀〜」に出演。『成功する転職』『無敵の転職』など著書多数。2男の母の顔も持つ。
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