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概要:ドコモの「dスマートバンク」が12月12日から始まりました。三菱UFJ銀行との共同サービスで、dアカウントと三菱UFJ銀行の口座との紐付けを行うだけで利用できます。
ドコモは新サービス「dスマートバンク」を発表した。
撮影:小林優多郎
NTTドコモと三菱UFJ銀行がデジタル口座サービス「dスマートバンク」の提供開始を12月12日、発表した。
今回のサービスでは「dスマートバンク」の専用アプリが提供され、アプリを通じて最短当日で三菱UFJ銀行の口座開設ができる。
この銀行口座をdアカウントと紐付けることで、口座利用状況に応じて年間最大660ポイントのdポイントが貯まったり(最初の2年間のみ、以降は360ポイント)、ATM利用手数料や「三菱UFJダイレクト」経由の他行宛て振込手数料での優遇が得られるのがメリットだ。
どんな金融サービスなのか?
「dスマートバンク」は口座を活用すればするほどdポイントが取得できる
出典:NTTドコモ
dスマートバンクでは、既存の三菱UFJ銀行利用者であれば、三菱UFJダイレクトの専用アプリでログインすることでかんたんに紐付けができる。
ただし、dポイント特典がもらえる連携をした場合、「既存のPontaポイントの連携が切れる」という排他関係にある。
アプリから新規口座開設が可能だが、既存の三菱UFJ銀行の利用者であれば紐付け操作だけで利用可能。
出典:NTTドコモ
なお、dアカウントさえ所持していれば利用可能なサービスのため、ドコモ回線やahamoの契約は不要で、三菱UFJ銀行の口座との紐付けをするだけで利用できる。
ただし、携帯電話料金やdカードの引き落としなど、ドコモ関連サービスを主に利用するユーザーを対象とした還元施策を中心にサービスが設計されている。
Advertisementいわゆる「ドコモ口座」とはまったく異なるサービス
2020年9月10日、ドコモ口座に関する謝罪をするNTTドコモの担当者。
撮影:小林優多郎
ドコモの金融サービスといえば、2020年に大きな話題となった「ドコモ口座問題」を思い出す人がいるかもしれない。
ドコモの“ウォレット”サービスである「ドコモ口座」を経由して各銀行から不正な口座振替が行われ、d払いを通じて商品の買い物や換金に利用されたという事件だ。
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問題の1つは、dアカウントが本人確認なしにメールアドレスだけで開設が可能で、しかもdアカウントに付随して「ドコモ口座」も利用できるという点にあった。
これを悪用して、各銀行の口座名義や口座番号など必要最低限の情報のみで口座振替登録を行い、残高をドコモ口座に引き出し、d払い経由で利用していたという流れになる。
以後はドコモを含む決済サービス提供者と銀行側の両方でセキュリティー対策が進み、安易な資金引き出しは困難な状況になった。が、「スマホ決済は危ない」という認識を世間に抱かせたインパクトは大きかった。
今回の「dスマートバンク」は以前のドコモ口座とは異なり、純粋に「三菱UFJ銀行の普通口座」を提供するサービスだ。
ドコモ口座は「資金移動業」登録で提供されるサービスであり、根拠となる法律と建て付け自体が根本から異なる。
シンプルに言えば、ドコモは「三菱UFJ銀行の口座」を利用するための“窓口”を提供しているに過ぎず、実体はあくまで三菱UFJ銀行の提供するサービスと考えておけばいいだろう。
「dスマートバンク」はどういう位置付けのサービスなのか
ドコモの持つ金融サービスの中核に「dスマートバンク」を据える
出典:NTTドコモ
ドコモから見た「dスマートバンク」の位置付けだが、同社が持つ「d払い」などの決済サービス、「THEO+」などの資産運用サービス、「ドコモワンタイム保険」などの保険サービス、2022年夏にスタートしたばかりの「dスマホローン」といった融資サービスなど、各種金融サービスの中核として機能する。
d払いが典型だが、残高を充当するための銀行口座が必要だ。「dスマートバンク」は、その口座振替のための銀行口座として活用できる。
裏側の仕組みは三菱UFJ銀行が「BaaS(Bank as a Service)」としてデータを接続するAPIを提供し、「dスマートバンク」アプリはこれを用いてドコモユーザー向けのUIとUX(外観やユーザー体験)で訴求するという流れだ。
三菱UFJ銀行はドコモが持つ8500万以上のユーザーに接触できるほか、各種サービスとの連携でより口座を活用してもらう機会を得られるというメリットがある。
ドコモが新サービスを開始する狙い
このような形でドコモがBaaSを活用するメリットとしては、取得条件の厳しい銀行業免許を得ずとも銀行口座を用いた金融サービスをユーザーに提供できる点が挙げられる。
今回、ドコモは金融サービス仲介業に登録することでドコモ主体の窓口サービスの提供が可能になった。また電子決済等代行業への登録により、アプリ内での口座情報提供など、必要最低限の銀行サービスが提示できる。
今回の提携の座組と両社の役割。
出典:NTTドコモ
「dスマートバンク」ならではの機能としては、口座管理を「おサイフ」と「貯金箱」に分けて、各種支払いとは別に貯蓄用を残高を持つことが可能な点が挙げられる。
残高を上回る支払いがあった場合、その旨の警告メッセージが表示される。この仕組み自体は三菱UFJ銀行のスーパー普通預金口座を活用したもので、ドコモの独自拡張と呼べる部分だ。
「dスマートバンク」アプリでは現状で口座開設や残高確認ができるのみで、口座振込や口座振替といった機能は利用できない。
ただ、現状では「dスマートバンク」で当該機能を呼び出そうとすると「三菱UFJダイレクト」のアプリに遷移するようになっている。既存の三菱UFJ銀行利用者があえて「dスマートバンク」アプリを利用するメリットは薄いかもしれない。
ドコモでは将来的な「d払い」を含む同社金融サービスとのUI・UX統合や「dスマートバンク」アプリ自体の機能拡張を計画しており、サービス的には「まだ道半ば」といった状態だ。
「dスマートバンク」が本領を発揮するのはまだ先の話
いま世界の金融業界では「BaaS(Bank as a Service)」と「Embedded Finance(埋め込み型金融)」というキーワードと取り組みに注目が集まっている。
BaaSは今回の三菱UFJ銀行のように銀行機能をAPIとして切り出し、外部提供するものだ。
例えば「銀行口座」に関する機能をBaaSで提供したり、あるいはクレジットカードなどのカード発行業務(イシュア)を他社に提供したりといった具合だ。
BaaSのメリットの1つは、銀行業免許を持たない企業が自身の顧客に口座サービスを提供したり、本来各国ごとに必要なライセンスを得ずに素早く金融サービスを世界展開することが可能な点にある。
BaaSを提供する側にとっても、膨大なシステム投資で維持している銀行の基幹システムを他社に提供することで収入を得て、システム投資を回収できるメリットがある。
このような形で自身の提供するサービスアプリの一部に金融機能を盛り込み、例えばSNSで簡単な送金や決済機能を実装するといったことも可能になり、このように提供されるサービスを、前出の「Embedded Finance」と呼ぶ。
「dスマートバンク」は三菱UFJ銀行のBaaSによって成り立つサービスであり、この典型例といえるだろう。
dスマートバンクは「中途半端」?
一方で、現状で利用できる機能は口座開設やアカウント連携、そして残高の参照というごく限られた機能に限られており、金融アプリとしての機能が弱い。
本来であれば、d払いを始めとするより活用頻度の高いアプリにこうした機能を埋め込み、ユーザーへ提供していくことでその魅力を高めるのが本筋だ。しかし、今回はBaaSで切り出された一部機能のみを単体アプリとして提供してしまっている。
「Embedded Finance」とは呼びにくく、BaaSとしても中途半端に留まっているのが現状だ。ゆえに、早急に他のドコモの金融アプリとの連携強化、あるいはアプリやインターフェイスの統合を進める必要があると筆者は考えている。
口座振込や口座振替といったモバイルバンキングでは必須の機能が「dスマートバンク」ではまだ提供されていない。あくまで現状では入り口に留まる。
出典:NTTドコモ
信頼できる通信業界の情報筋によると、今回のサービス提供はドコモと三菱UFJ銀行の提携ありきでスタートしたものであり、座組を考えるなかでどういった形であれば成立するかを模索するなかで生まれたものだと考えられる。
他の3つの携帯キャリア(KDDI、ソフトバンク、楽天)はそれぞれグループ内に銀行を抱えており、ドコモのみがBaaSでの市場参入の形態を採ったのはこうした理由が大きい。
ただ短い期間という制約はあるが、現状でドコモならではの特徴を出せておらず、基本機能で三菱UFJ銀行のアプリに頼らざるを得ないなど、まだまだ工夫の余地を大いに秘めている。
日本国内においては、貯蓄を含む幅広い金融サービスの利用には銀行口座は不可欠であり、その点はネオバンクと呼ばれる新しいタイプの銀行が勃興する諸外国との大きな違いだ。
こうしたなか、ドコモがどのように「dスマートバンク」で特色を出していくのかは注目ポイントだろう。
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