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概要:スイス金融大手UBSのトップ米国株ストラテジストは、1960 年代以降に起きた全ての弱気相場を分析した上で、年初来低迷を続ける株式市場の底打ちを「2023年第3四半期」と予測しています。
AP Images/Richard Drew
S&P500種株価指数は低迷が続き、年初来の下落幅は11月9日終値時点で約22%に達している。米ウォール街でいま最も悩ましい問題の一つはもちろん、底打ちがいつになるのかということだ。
その答えは、景気後退入りはあるのかないのか、インフレがいまにも沈静化するのかまだまだかかるのか、米連邦準備制度理事会(FRB)はいつになったらハト派転換するのか、企業の業績はこれからどんな推移を見せるのか…そうした複数のファクターが絡み合って決まることになる。
現時点での底入れ予想を「2023年上半期」とするのは、米金融大手モルガン・スタンレー(Morgan Stanley)のチーフ米国株ストラテジスト兼最高投資責任者(CIO)マイク・ウィルソンや、債券ファンド運営パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)ポートフォリオマネージャーのエリン・ブラウンらだ。
一方で、底打ち時期をもっと先と見る向きもある。
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スイス金融大手UBSチーフ米国株ストラテジストのキース・パーカーは、最近(11月第2週)の顧客向けメールで、同社のエコノミストチームが2023年第2四半期(4〜6月)の景気後退入りを予測していることを受け、底打ちは翌四半期(7〜9月)になると指摘する。
「株式市場では通常の場合、景気後退局面のうち景気の山から谷に向かう中間点(50%)で株価が底を打ち、75%あたりで有意な回復が確認できるようになるものです。
その流れに、アメリカは第2四半期に景気後退入りして第4四半期末までに景気拡大局面に転じるという当社の経済予測を重ね合わせると、S&P500種指数が底を打つのは第3四半期前半と考えられます」(パーカー)
本当にそのようなシナリオが展開されるのかどうか、我々には分からない。
ただし、前出の顧客向けメールで、パーカーは過去数十年間のあらゆる弱気相場を分析し、底打ちのシグナルとして機能してきた17の指標を紹介している。
1965年以降のほとんどの弱気相場では、底打ち前にそれらの指標の4分の3程度が条件を満たしてきた。足元の状況で言えば、全指標の59%が条件を満たしており、株価が底打ちに至るまでにはさらにいくつかのチェックボックスにレ点が入る必要がある。
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現時点で満たされていない条件は以下の7つだ。
10年物米国債の利回りが3カ月高値から少なくとも50ベーシスポイント(0.5%)以上低下した
過去6カ月以内に政策金利であるフェデラル・ファンド(FF)金利が引き下げられた
長期社債のクレジットスプレッド(米国債利回りとの差)が300ベーシスポイント(3%)以上に拡大、かつ過去1カ月以内に低下を始めた
S&P500種指数の予想株価収益率(PER)が14倍を下回った(現在は16.3倍)
株式リスクプレミアム(ERP)が3カ月最小値から少なくとも50ベーシスポイント(0.5%)上昇した(元本保証の無リスク資産である米国債利回りはここ数年で最も高い水準)
債券に対する株式のボラティリティ(価格変動性)が低下した
企業の業績見通し修正のペースが十分に低下した
【図表1】底打ちのシグナルとなる市場の変化(17の指標)。左端が1966年10月、右端が現在。ピンク色が条件を満たしていない指標を指す。
UBS
【図表2】底打ちのシグナル指標が条件を満たした割合と景気の底との関係。青の折れ線は上に振れるほど多くの指標を満たした状態を示す。茶の縦線は弱気相場の底を示す。
UBS
「過去のデータ分析から、株式市場が底を打つ前には、17ある指標の少なくとも75%が条件を満たす必要があることが判明しています。
足元について言えば、条件を満たしている指標はまだ50%ほど。とりわけ金利とバリュエーションに関する指標はまだ下げの余地があることを示しています。
債券利回りのあや戻し、あるいはバリュエーションの大幅な低下が見られれば、弱気相場の終わりが近づいていることを確信できるようになるでしょう」
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パーカーによれば、10年物米国債の利回りは現在、S&P500種指数のリターンを左右する最も重要なファクターだという。
【図表3】S&P500種株価指数のリターンを左右するファクター別の寄与率。10年物米国債(薄紫線)が20%弱と頭抜けており、他はいずれも10%以下。2022年2〜5月はロシア・ウクライナ間の緊張(茶線)が飛び抜けて寄与していた。
UBS
「株式市場の安定には金融市場の安定が不可欠で、経済成長や経済活動の活発化が問題となるのはあくまでその次の話なのです」
パーカーによれば、弱気相場の底打ち後は典型的に株価の急上昇が確認される。景気後退を伴う市場の下落幅が約35%のケースでは、底打ち後12カ月間の上昇幅が平均42%というデータがある。
また、景気後退を伴わず下落幅が約25%のケースでは、底打ち後12カ月のリターンが平均27%となっているという。
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※本記事は取材対象者の知識と経験に基づいて投資の選定ポイントをまとめたものですが、事例として取り上げたいかなる金融商品の売買をも勧めるものではありません。本記事に記載した情報や意見によって読者に発生した損害や損失については、筆者、発行媒体は一切責任を負いません。投資における最終決定はご自身の判断で行ってください。
[原文:How to know when stocks have bottomed: UBS shares 17 indicators to watch that will likely signal the end of the bear market — and how high stocks could climb afterward]
(翻訳・編集:川村力)
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