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概要:欧州連合(EU)諸国は今、目の飛び出るほどの高値でも天然ガスを購入しつつ、域内のエネルギー消費抑制を急ぎ、この冬のエネルギー不足を回避しようとしている。ただ最新の中期予報によると、この先寒波が襲来して一時的にエネルギー需要が高まる恐れが出てきた。
[ブリュッセル/ロンドン 14日 ロイター] - 欧州連合(EU)諸国は今、目の飛び出るほどの高値でも天然ガスを購入しつつ、域内のエネルギー消費抑制を急ぎ、この冬のエネルギー不足を回避しようとしている。ただ最新の中期予報によると、この先寒波が襲来して一時的にエネルギー需要が高まる恐れが出てきた。
EU諸国は今、高値でも天然ガスを購入しつつ、エネルギー消費を抑制し、冬のエネルギー不足を回避しようとしている。ただ、この先寒波により一時的にエネルギー需要が高まる恐れが出てきた。
ウクライナで戦争が始まって以降、ロシア産ガスの欧州向け供給が減少を続け、欧州では電力やガスの価格が跳ね上がった結果、物価全般が高騰。産業界は活動を阻害され、消費者も北半球の冬を迎える前から既に過去最悪の金銭的な負担を強いられている。
欧州のガス貯蔵率は高水準に達し、域内には液化天然ガス(LNG)が着実に輸入されているが、それでも電力不足や停電、供給割り当て制度導入などのリスクは払拭できない。
こうした中で欧州中期気象予報センター(ECMWF)が13日に発表したこの冬の最新予報によると、12月に寒波が欧州にやってくる可能性がある。そうなれば域内でエネルギー需給がひっ迫しかねない。
ECMWF傘下のコペルニクス気候変動サービスのディレクター、カルロ・ボンテンポ氏は「寒波到来の非常に大きなリスクが存在し続けている。どちらかと言えば、平年よりリスクはやや高い」とロイターに語った。
欧州西部の天候は今後数週間は穏やかなもよう。しかしECMWFのモデルからは、12月になると高気圧が欧州で発達し、シベリアや中央アジアから寒気を呼び込んで気温低下につながる確率が、平年より高まっていることが分かる。
ボンテンポ氏は「気温が下がれば、暖房用のエネルギー需要は増大してもおかしくない」と述べた。
中期予報では、ある事態が起きると確実に見込むことや、高気圧の張り出し期間が1週間かもっと長くなるのかを測定するのは不可能だ。とはいえ、家庭の暖房用に一体どれだけのガスが必要になるか探ろうとする企業や政府にとって、先行的な判断要素の1つにはなる。
実際、9月終盤の一時的に寒くなった週には、ドイツの家庭と中小企業のガス消費は過去4年の同期間平均を14.5%も上回った。
<貯蔵分で穴埋めできず>
寒波が襲来すればガス需要が高まると同時に、再生可能エネルギーによる発電量は全体として減少してしまう可能性がある。高気圧は晴天を通じて太陽光発電を促進してくれる半面、風力を弱め、雨も降らないからだ。
そうなると貯蔵されたガスがショックを和らげる役割を担うはずだが、あらゆる天気のシナリオに有効というわけにはいかない。EU諸国のガス貯蔵率は、ここ数カ月でロシア以外の地域から調達を進めた結果、平均で約92%に達した。ただし何人かの専門家は、これだけで失われたロシアからの供給分を穴埋めできないし、寒い冬が到来すれば事態はもっと悪くなると警鐘を鳴らす。
S&Pグローバル・レーティングスのマネジングディレクター、エマニュエル・デュボア・ペルラン氏は「欧州は現在、冬場を通じて需要の7-8%前後相当、およそ200億立方メートル(のガス)が不足する危険があり、寒さが厳しくなれば不足量は実質2倍になりかねない」と語る。
<次の冬への懸念も>
デュボア・ペルラン氏は「気温がそれほど下がらなければ、欧州は供給割り当てや(ガス)需要削減の加速を迫られることはないだろう」と述べた。
しかし事態の鍵を握るのは欧州の天候だけではない。欧州はロシアへのガス依存脱却促進の一環としてLNG輸入に力を入れてきたが、国際市場における購入に際して競争相手となるのはアジア勢。そのアジア地域の冬も寒くなった場合、欧州は190億立方メートルほどのガス不足に見舞われ、冬が終わった時点で貯蔵率は18%まで下がってもおかしくない、とエネルギー・アスペクツのアナリスト、レオン・イズビツキ氏は見積もる。
イズビツキ氏は「アジアのLNG需要は、欧州が実際にこの冬に一体どれだけのエネルギーを確保すれば乗り切れるかを判断する上で重要な要素の1つになる」と強調した。
もしもこの冬、厳しい寒さのために欧州のガス貯蔵が枯渇すると、次の冬に向けてはなお一層ロシアを当てにできない中で再貯蔵に取り組まなければならない。
先月に海底パイプライン「ノルドストリーム」が原因不明の爆発によって破壊されたことで、ロシア産ガスの欧州向け供給が再開されるとの期待もすっかり色あせたようだ。
リフィニティブのコモディティー調査マネジャー、マリア・ツィガンコバ氏は、次の冬に間に合うように十分なガス貯蔵ができる条件は、その冬の気温があまり下がらないか、ガス需要が減少するかしかないと断言。「穏やかな冬、ないしは需要のさらなる減退が起きるのを祈る必要がある」と述べた。
EU諸国はこれまで、冬場のガス需要を自発的に15%減らすことで合意している。EUによると、平均的な冬であれば、これで十分な燃料が確保できるが、寒い冬なら不足が生じることになる。
(Kate Abnett記者、Bozorgmehr Sharafedin記者)
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