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概要:米カリフォルニア州南部・ロサンゼルス都市圏のリバーサイド郡とサンバーナディーノ郡にまたがる「インランド・エンパイア」と呼ばれる地域には、米国最大規模の倉庫群が存在する。それが今、どこも満杯の状態だ。
[サンバーナディーノ(米カリフォルニア州) 2日 ロイター] - 米カリフォルニア州南部・ロサンゼルス都市圏のリバーサイド郡とサンバーナディーノ郡にまたがる「インランド・エンパイア」と呼ばれる地域には、米国最大規模の倉庫群が存在する。それが今、どこも満杯の状態だ。
米カリフォルニア州南部・ロサンゼルス都市圏のリバーサイド郡とサンバーナディーノ郡にまたがる「インランド・エンパイア」と呼ばれる地域には、米国最大規模の倉庫群が存在する。それが今、どこも満杯の状態だ。写真は7月、同州フォンタナの倉庫で撮影したコンテナ(2022年 ロイター/Lisa Baertlein)
小売り各社は既に衣料品や家電、家具などの販売が鈍化しつつあると表明しており、在庫が増加した。ところが、アジアからは引き続き太平洋を渡って商品が届き、この倉庫群に搬入されているため、状況はさらに悪化しようとしている。
複数の専門家は以前から、企業が店頭での欠品を避けようと慌てて商品の発注をかける中で突然需要が下振れ、それでもアジアからの入荷が途絶えない場合、米国のサプライチェーン(供給網)は「ブルウィップ(むち)効果」に見舞われると警鐘を鳴らしてきた。
ブルウィップ効果とは、むちがしなるように川下の需要の変化がサプライチェーンの川上方向へ何倍もの大きさで波及し、過剰在庫や生産効率の低下をもたらす現象を指す。
インランド・エンパイアの倉庫群は、まさにその瞬間を迎えているように見える。
テネシー大学のアラン・アムリング教授(サプライチェーン問題)も「われわれはむちの痛みを感じつつある」と指摘した。
これらの倉庫群は、需要増大に対応し、アジアからの輸入品をさばく目的で近年急速に規模を膨らませてきた。保管スペースは16億平方フィートに上り、ニューヨークのセントラルパークの約44倍、電気自動車(EV)大手・テスラのテキサス州にある新工場の160倍という広さだ。
しかし、個人消費の冷え込みを受け、インランド・エンパイアだけでなく全米各地の倉庫に容量を超える商品が押し寄せる恐れが出てきた。望まない在庫を抱えた小売り各社は、追加費用を払って保管場所を確保するか、利益を犠牲にしても値引きを通じて在庫品を処分するかの二者択一を迫られている。
不動産サービスのクッシュマン・アンド・ウェイクフィールドによると、特にインランド・エンパイアの倉庫の空室率は0.6%と過去最低で、全米平均の3.1%より大幅に低い。
しかも、ウォルマートやベスト・バイなどの買い物客は、新型コロナウイルスのパンデミック期間ほど活発に支出しなくなったため、倉庫の空き容量は一段と縮小しようとしている。
<ドミノ現象>
米国の個人消費はまだパンデミック前よりは高水準だが、小売店やサプライヤーは時流に合わなくなった商品のだぶつきを警戒し始めている。背景には、消費者の関心が旅行などこれまで我慢してきたサービスに向かっていることや、40年ぶりの物価上昇がある。
先週、ウォルマートは食品と燃料の価格高騰で低所得層の顧客による支出が減っていると述べ、ベスト・バイも買い物客はコンピューターやテレビといった非生活必需品の購入を抑えていると表明。これに先立ち、ターゲットもテレビやキッチン家電、衣料品などの在庫が過剰になっていると警告した。
米国の経済活動は下振れているが、商品は海外から過去最高に近い水準で流入し続けている。
デスカーテス・データマインによると、今年上半期に米国のコンテナ港で取り扱われた中国などからの輸入品は、パンデミック前よりも26%余り増加した。
米国で最も貨物取扱量が多いロサンゼルス/ロングビーチ港が上半期にさばいた貨物は、40フィートサイズのコンテナでパンデミック前を約55万個も上回った。
クリスマス関連商品の入荷や、中国の主要工場の稼働再開で、輸入量はさらに増える可能性がある。
船荷のインボイスを精査するオーシャン・オーディットのスティーブ・フェレイラ最高経営責任者(CEO)は、7月にはクリスマスの玩具や飾り物が、ウォルマートの販売する家具やターゲットが売る衣料品などとともに、米国の港に到着したと話した。
小売り各社がこれらの商品を発注したのは数カ月前で、商品の多くは既に保管限度一杯になっているインランド・エンパイアの倉庫群に送られる。
マースクでロサンゼルス都市圏にある22の倉庫運営チームのバイスプレジデントを務めるスコット・ワイス氏は「ドミノ現象だ。在庫が積み上がろうとしている」と悲鳴を上げる。
ワイス氏の話では、インランド・エンパイアの保管スペースは引き合いが非常に強いので、10万平方フィートや20万平方フィートの空きがあっても瞬間的に埋まってしまうという。
<最後の候補地>
商業不動産助言会社幹部のデーン・フェドラ氏は、インランド・エンパイアではアマゾン・ドット・コムの最大規模の倉庫を含め、合計面積約4000万平方フィート分の倉庫が建設中で、少なくとも38%に予約が入っていると述べた。
ただ、アマゾンはこの410万平方フィートの倉庫建設は進めつつも、他の場所での建設計画は棚挙げしている。こうした同社の倉庫建設計画縮小に加え、金利上昇や景気減速のためにインランド・エンパイアで倉庫建設を検討していた向きが、様子見に転じているとの声が聞かれた。
逆に今すぐ保管スペースを探そうとする動きも、なお見受けられる。インランド・エンパイアでトラックヤードや駐車場になっていた場所はとっくに即席のコンテナ保管施設に転換されており、起業家が最後の倉庫用地として売り出そうとしているのは、閉店した小売店の跡地だ。
「倉庫業界のエアビー・アンド・ビー」を名乗るチャンカーのブラッド・ライトCEOは、州当局や大型店跡地の所有者などと協力し、倉庫建設地探しに奔走している。
ライト氏が最近目を付け、訪れたのはサンバーナディーノ郡の「インランド・センター・モール」にあったシアーズ中核店の跡地だ。「閉鎖した小売店は数多く、どこも格好の立地条件だ」という。
(Lisa Baertlein記者)
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