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概要:株式市場は年初から軟調な展開が続いています。 年前半は資源価格が高止まりする中でインフレ懸念が相場を主導しておりましたが、足元では景気後退懸念にシフトしており、資源価格や期待インフレ率が低下しています
株式市場は年初から軟調な展開が続いています。
年前半は資源価格が高止まりする中でインフレ懸念が相場を主導しておりましたが、足元では景気後退懸念にシフトしており、資源価格や期待インフレ率が低下しています。
FRBは景気後退リスクがあっても物価抑制に努めるスタンスを明確にしており、企業経営者の景気見通しに対する慎重な発言が増え、IT企業が景気後退に備え雇用減で対応しております。
Bloombergではリセッションが引用される記事数は2020年3月コロナ禍以降最も多く、米国の1年以内の景気後退確率は40%程度とされています。
景気サイクルは歴史的に断続的な利上げによって需要が抑制され、やがてリセッションを迎えてきました。
今後も足元のインフレに対応するために、利上げはパウエルFRB議長曰く「通常ではない」幅で継続することが予想されており、やがて景気後退入りするのか、それとも早期にインフレ抑制に成功しFRBのスタンスが景気配慮に変わりソフトランディングするのか注目されますが、前者の見方が徐々に増えているようです。
ではどの程度の減速にどう身構えるのか?ですが、現在の米景気はコロナ禍の行動制限下で先行したモノの消費がここにきて勢いを欠くものの、外食や旅行などサービス消費が堅調です。
雇用情勢にもそのような特徴が表れておりますが、求人数が高止まりするなど労働市場全体も堅調です。
利上げの影響を受けやすい住宅市場や自動車産業は在庫が低水準に留まっており大幅な調整の余地は少ないでしょう。
また2008年の金融危機以降家計のバランスシートや債務負担は大幅に改善しており、FRBのストレステストによって金融機関の健全性も認められるなど経済主体が強化されており、経済が調整局面に入ったとしても大きく崩れる状況には至らないとみられます。
株式市場は20%超の下落で弱気相場入りと言われておりますが、過去このような局面は中期的な買い場となりました。
戦後の米国株では、20%以上の調整時から1年後のリターンは85%の割合でプラスとなり平均12%です。
ITバブル崩壊時のように調整期間が2年に及ぶこともありますが、今回は上述の通り経済主体に体力があります。
現在はコロナ禍以降の政策緩和による株高の反動減の側面もあり、経験則通りの展開を想定しない方が良いですが、少なくとも中期目線で株式を保有することは意識したい局面です。
一方で短期的に確かなのは利上げが欧米新興諸国で継続することであり、景気は抑制される状況が続きます。
そのような中で日本や中国は金融緩和スタンスにある点は分散投資の対象として意識されます。
また、株式市場同様に債券市場も金利上昇によって大きく調整しました。
外国債券についてはようやく魅力的な利回りが提供され始めており、PB(プライベートバンク)事業部においても関心は非常に高まっております。
歴史的に債券は景気減速時に安定的なリターンを出してきました。
景気減速への備えとして、またリスク資産に対する分散投資の対象として注目されます。
マネックス証券 インベストメント・ストラテジーズ 塚本 憲弘
(出所:7/19配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋)
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