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概要:6月27日の米金融市場では、小売セクターで発生している過剰在庫の問題が米連邦準備理事会(FRB)の利上げや量的引き締めの転換につながる可能性がある、とした米著名投資家のツイートが話題になった。
[東京 29日] - 6月27日の米金融市場では、小売セクターで発生している過剰在庫の問題が米連邦準備理事会(FRB)の利上げや量的引き締めの転換につながる可能性がある、とした米著名投資家のツイートが話題になった。
6月27日の米金融市場では、小売セクターで発生している過剰在庫の問題が米連邦準備理事会(FRB)の利上げや量的引き締めの転換につながる可能性がある、とした米著名投資家のツイートが話題になった。上野泰也氏のコラム。写真は米首都ワシントンのFRB本部。
利上げなどを進める過程で米景気はリセッション(後退局面)に陥る可能性があるとパウエル議長が議会証言で認めてから、市場参加者は景気腰折れリスクへの警戒感を一層強めている。28日に発表された6月の米消費者信頼感指数の急低下も、そうした警戒感に寄与することになった。
むろん、サマーズ元米財務長官のように、たとえ景気後退になるとしても高いインフレ率が根付くリスクは根絶すべきだという主張もある。
<FRBが負う最大雇用実現の重み>
だが、実際はどうか。欧州中銀(ECB)など先進国の多くの中央銀行と異なり、FRBはデュアル・マンデート(二重の法的責務)を負っている。すなわち、「物価安定」とともに「最大雇用」の実現にも努めなければならないのが、FRBの置かれた立場である。雇用情勢が悪化して失業率が上昇を続けていてもそれを無視して、インフレ率はまだ高いという理由から金融引き締めを続行するのは、現実問題としては難しい話だろう。
大幅な利上げが小幅な利上げになり、さらに利上げが停止されて様子見の時間帯に移行する場合、市場参加者はFRBの次のステップとして、利下げへの転換を視野に入れることになるだろう。常に一歩、なんとか先読みをして動こうとするのが、市場の行動パターンである。
では、中央銀行の金融政策のベクトルが正反対になる、利上げから利下げへと180度方針転換するまでのインターバルは、どのくらいの長さだろうか。
<08年のECB、00年の日銀>
少し経験が長い市場参加者が思い出すのは、2008年のECBの事例だろう。物価安定にのみ法的責務がありインフレ警戒心が強いユーロ圏の中央銀行が、米住宅バブル崩壊後の危機局面がまだ全く終わっていないにもかかわらず、この年の7月3日に利上げした。
ところが、9月に「リーマンショック」が発生して経済情勢がグローバルに急激に悪化したことから、わずか3カ月ほど後の10月8日、ECBは利下げを決めることになった。この時のトラウマがECBにあることから、足元の局面で金融政策を引き締め方向に切り替えるのが遅れたのではないか、とも指摘されている。
もう少しベテランの市場参加者になると、インターネットバブルが崩壊する前後の局面での日銀の失敗が、最も強く印象に残っているだろう。2000年8月11日の金融政策決定会合で速水優総裁(当時)率いる日銀は、政府が提出した議決延期請求権を乗り越えて、ゼロ金利政策の解除を決定。政策金利は0.25%前後に引き上げられた。
だが、バブルの崩壊により、経済情勢は世界的に悪化していく。日銀は翌01年2月9日の会合で、金融緩和措置である流動性供給方法の改善策および公定歩合の引き下げを決定するに至った。利上げから利下げまでのインターバルは、6カ月ほどである。この後、同年3月19日には量的緩和政策が導入された。「裏口からのゼロ金利復帰」と揶揄(やゆ)する声が出るなど、日銀の失敗は明確だった。
<00年のFRB、短期間に転換>
実はFRBの場合も、インターネットバブル崩壊時の政策運営では、利上げから利下げまでのインターバルは短かった。最後の利上げは2000年5月16日。0.5%ポイントの引き上げで、フェデラルファンド(FF)レート誘導水準は6.5%に達した。それから約7カ月半(232日)が経過した01年1月3日に、FRBは0.5%ポイントの緊急利下げを決定した。
今回の利上げ局面では、今年3月17日に0.25%ポイントの利上げを行って口火を切った後、5月5日には0.5%ポイント幅で追加利上げが行われたわけだが、この幅の利上げは上記の2000年5月16日以来である。あまり縁起の良い話ではない。
そのFRBは、06─07年に住宅バブルが崩壊した際は、もう少しうまく立ち回ったと言える。06年6月29日に0.25%ポイント幅で利上げした後、しばらく様子見をしていたが、経済情勢が良くないことがわかった07年8月17日に公定歩合を引き下げた。最後の利上げから最初の利下げまでのインターバルは約13カ月半(414日)である。その後、9月18日にはFFレート誘導水準が0.5%ポイント引き下げられた。
<過去のデータが示すインターバル>
上記の2つの事例、インターネットバブル崩壊時と住宅バブル崩壊時以外の、FRBの政策金利ベクトル転換のインターバルは、どのくらいの長さだろうか。
94年2月から95年2月まで続いた利上げ局面の場合、95年2月1日に行われた最後の利上げから、同年7月6日に行われた最初の利下げまでのインターバルは、約5カ月(155日)で、非常に短かった。
一方、直近の事例では、18年12月20日に利上げした後、19年8月1日に利下げしており、インターバルは約7カ月半(224日)だった。
FRBが利上げから利下げに路線転換した4つの事例を時系列であらためて整理すると、94─95年(155日)、00─01年(232日)、06─07年(414日)、18─19年(155日)である。単純平均を計算すると約256日。最後の利上げから最初の利下げまでは、8カ月半ほどの平均インターバルになる。
今年6月時点の「ドットチャート」を見ると、FFレート誘導水準は23年にピークをつけて、24年は分布がやや下がる姿であり、24年中の利下げを想定しているFRB理事・地区連銀総裁がいることがわかる。過去の発言内容から考えて、タカ派のブラード・セントルイス連銀総裁もその1人だろう。
FRBは出遅れを取り戻そうと、かなり焦って利上げと量的引き締めを進めており、景気に対してオーバーキルになってしまう可能性が高い。それに気付く場合、FRBのタカ派姿勢は和らぎ、しばらくすると利下げに転じることによって、景気のそれ以上の悪化を防ごうとするだろう。
金融市場には、24年ではなく23年後半にもFRBが利下げに転じるとみる向きもいる。筆者もその1人である。おそらく景気後退を示唆するエビデンス増加や物価指標の落ち着き、あるいは米国の内外での何らかの危機発生をきっかけにして、FRBの利上げは早ければ年内、遅くとも23年前半には停止するのではないか。そして、その先には利下げが徐々に見えてくる。
FRBが利下げを視野に入れ始めたことを市場が感知する場合には、ドル/円相場は5─10円といったまとまった幅で、ドル安・円高方向に動くと見込まれる。
編集:田巻一彦
*本コラムは、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
*上野泰也氏は、みずほ証券のチーフマーケットエコノミスト。会計検査院を経て、1988年富士銀行に入行。為替ディーラーとして勤務した後、為替、資金、債券各セクションにてマーケットエコノミストを歴任。2000年から現職。
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