简体中文
繁體中文
English
Pусский
日本語
ภาษาไทย
Tiếng Việt
Bahasa Indonesia
Español
हिन्दी
Filippiiniläinen
Français
Deutsch
Português
Türkçe
한국어
العربية
概要:平田紀之 [東京 12日 ロイター] - 東京証券取引所の60年ぶりとなる市場再編後も、日本株は盛り上がりを欠いている。投資家の不満の1つは東証プライム市場指数など新たに導入された指数のデータがリア
平田紀之
[東京 12日 ロイター] - 東京証券取引所の60年ぶりとなる市場再編後も、日本株は盛り上がりを欠いている。投資家の不満の1つは東証プライム市場指数など新たに導入された指数のデータがリアルタイムで更新されないことだ。日中の動きが把握できないだけでなく、インデックスファンドや先物の組成も難しく、「今のままでは使いにくい」(国内運用会社)との声が出ている。
<再編初日、午後4時までデータ配信されず>
東証が市場区分の再編を実施した4日、ある国内証券会社では「なぜ動かないんだ。コンピューターが壊れているのか」と、社内がざわめく場面があった。東証が新たに設けたプライム市場指数、スタンダード市場指数、グロース市場指数のデータが表示されなかったためだ。初めてデータが表示されたのは午後4時だった。
実は、新指数はTOPIXなどと異なり、数値算出を毎営業日午後4時の1回きりとする「バッチ」型の指数で、取引時間中のリアルタイムでの値動きは配信しないことが決まっていた。
これが市場には十分に周知されておらず、戸惑いが広がった。注目する投資家も多かっただけに、マーケットからは「東証は新指数を普及させる気があるのだろうか」(別の国内証券)と、いぶかる声も漏れた。
1日1回の配信の方針には、市場区分の再編を扱った金融庁の金融審議会での議論が反映されている。特定の市場区分と指数の構成銘柄が連動している場合、インデックスファンドなどを通じて、時価総額や流動性の低い銘柄に資金が流れ、価格形成に歪みが生じかねないとの弊害が指摘された。一方、指数には市場全体の動向を示す機能もある。この目的のために、1日1回の配信なら問題ないとの判断で落ち着いた。
ただ、ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは「リアルタイムで更新しないから問題ないという整理であれば、本末転倒だろう」と指摘する。新指数はTOPIXと同様に銘柄が多すぎることが問題の本質だとの見方だ。
パッシブ運用を通じて株価が歪むリスクは、市場再編後も継続して算出されているTOPIXが抱えている。TOPIXは、2022年10月から、流通株式時価総額100億円未満の銘柄のウェイトを段階的に減らしていく方向だ。SMBC日興証券の伊藤桂一チーフクオンツアナリストによると、4月8日時点で流通時価総額が100億円に満たない企業は532社。4日時点でTOPIXの対象銘柄数は2174、プライム市場指数は1837となっている。
<ファンドや先物の組成困難に>
株価指数がリアルタイム配信されない場合、指数に連動するインデックスファンドを作りにくくなる。投信の売買の申し込みは原則として午後3時までで「指数が高いか安いかわからなければ、投資家は売買の判断ができない」(しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹運用本部長)とみられている。
リアルタイムデータがなければ、指数先物も組成しにくい。現物株をヘッジするには先物が有効だが、先物の取引が活発になるためには「投機筋を含め、多様な投資家を呼び込んで流動性を高める必要がある。リアルタイムでない指数では現実的でない」(国内証券)と指摘されている。
「新指数が複数できたことで裁定取引などの投資機会が存在したはずだが、それができない」(いちよしアセットマネジメントの秋野充成取締役)との声もある。
TOPIXとプライム市場指数の違いも明確でない。経過措置が設けられたことで、東証1部企業の約8割がプライムに移行することになった。TOPIXには先物もあるため「それならTOPIXでいいではないか」(国内投信)とされてしまう。
事情に詳しい関係筋によると、JPXグループ傘下で、株価指数の開発・算出を担うJPX総研は、市場のニーズを踏まえて新指数の扱いに柔軟な姿勢で臨む構えだ。日中の動きを把握したいとの声が高まれば、新指数のリアルタイム配信も検討の対象になるという。
内国株式売買代金の4─8日の平均は1日3.47兆円で、1月の月間平均3.62兆円や2月の3.70兆円を下回った。市場再編は海外投資家などの注目を集めるいい機会となるはずだが、改革に時間がかかりすぎれば「鮮度」が失われるおそれもある。
(平田紀之 編集:伊賀大記)
免責事項:
このコンテンツの見解は筆者個人的な見解を示すものに過ぎず、当社の投資アドバイスではありません。当サイトは、記事情報の正確性、完全性、適時性を保証するものではなく、情報の使用または関連コンテンツにより生じた、いかなる損失に対しても責任は負いません。