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概要:[ロンドン 30日 ロイター] - ロシアは、ウクライナ侵攻を受けた西側諸国による大規模な経済制裁を科せられながらも、今のところ対外債務で何とかデフォルト(債務不履行)を回避している。 だが、返済は
[ロンドン 30日 ロイター] - ロシアは、ウクライナ侵攻を受けた西側諸国による大規模な経済制裁を科せられながらも、今のところ対外債務で何とかデフォルト(債務不履行)を回避している。
だが、返済は難しさが増す一方、ロシア政府が欧州向け天然ガス供給を止めると脅していることも、自らハードルを上げているように思われる。現時点で実際にデフォルトが発生すれば、状況がどのように変わり、新たな事態がどのように起きるのか検証した。
◎デフォルトに陥った国で起きること
ロシアが今後やってくる債務返済について、期限内に実行できないか、指定されたドルやユーロなどでなくルーブルで支払った場合、デフォルトの要件が満たされる。
ロシアのデフォルトが現実味を帯びたのは、2月24日のウクライナ侵攻と、それに伴う西側の経済制裁の発動以降。この制裁で、ロシア政府が保有する数千億ドル規模の外貨準備が凍結された。
西側の制裁により、ロシアは既に国際金融資本市場から閉め出されている。しかし、デフォルトを引き起こせば、債権者側が返済金の全額を受け取り、デフォルトに起因する訴訟が解決するまで、金融市場に戻ってくることができなくなることを意味する。
アルゼンチンなど他国のデフォルトの際には、海軍艦艇や大統領専用機など国の実物資産まで差し押さえようと動く債権者の姿が見られた。
ロシアの大手国営エネルギー企業は、欧州の重要なガス関連インフラの一部権益を所有しているだけに、どんな展開になるのか、様々な疑問が渦巻くことになるだろう。
ロシアと通常の貿易をしている国や企業が、デフォルトに陥った団体との取引を禁止する自主ルールを制定している場合も、悩ましい事態になりかねない。
将来的に制裁が解除されたとしても、国際金融資本市場におけるロシアの評判が容易に回復することはないだろう。そのためロシアの信用格付けが圧迫され、政府や企業の借り入れコストを押し上げるとみられる。
◎これまでの経緯
ロシアは3月分の対外債務支払いを続け、自国通貨建てでは1998年の財政危機以来、外貨建てでは1917年のロシア革命以来となるデフォルトを免れている。ロシア革命直後に成立したソビエト連邦政府は、ロシア帝国の債務継承を拒否した。
今週になってロシア政府は、4月4日に償還期日を迎える額面20億ドルの国債について、ルーブル建てで元本償還に応じる方針を表明し、デフォルトリスクを高めている。4月4日の償還は、年内のロシア債務返済として最大規模だ。
ロシアがルーブルでの支払いを望まない債権者に受け取りを強制しない限り、通常はデフォルトとはみなされない。それでも綱渡りは続く。
主要格付け会社はロシアの格付けから撤退し、何が起きてもデフォルトが宣告されないことが、状況を複雑にしている。
◎次の展開
31日には4億4700万ドル相当の対外債務の利払いを迫られる。ロシアがその支払いに応じるとしても、なお問題山積だ。
西側の制裁は、ロシアの財務省、中央銀行もしくは政府系ファンドとの取引を禁じている。米財務省外国資産管理室(OFAC)は3月2日に「債券ないし株式の利子や配当、償還金受け取り」を目的とする取引は禁止対象から除外する通達を出した。
だが、有効期限は5月25日まで。それ以降にもロシアは年内に総額約20億ドルの対外債務を返済しなければならない。
アナリストによると、4月4日の返済を乗り越えた場合、次のヤマ場は5月27日。OFACの通達失効後、初めての支払いになるからだ。
ロシアはルーブルで支払い、それをロシアの銀行口座に入金せざるを得なくなってもおかしくない。同国財務省は、この方法は「フォールバック・オプション(当初の決済方法が不可能になった場合の切り替え手段)」だと主張している。
ただ、ドルでの支払い義務が法的に定められている以上、ルーブル決済はデフォルトの要件に該当する。
ロシアの外貨建て債は合計15本で、総額は約400億ドル。ウクライナ危機前の段階では、そのうち200億ドル前後をロシア国外の投資ファンドと資産運用会社が保有していた。
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