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概要:[15日 ロイター] - ロシアは16日にドル建て国債2本の利払い期限を迎える。合計金額は1億1700万ドルで、ウクライナ侵攻を受けて欧米が大規模な経済制裁を発動し、ロシア側が対抗措置を講じて以降、初
[15日 ロイター] - ロシアは16日にドル建て国債2本の利払い期限を迎える。合計金額は1億1700万ドルで、ウクライナ侵攻を受けて欧米が大規模な経済制裁を発動し、ロシア側が対抗措置を講じて以降、初めての対外債務支払いとなる。
ロシア財務省は14日、これらユーロ債(母国市場以外の市場で発行される債券)の利払いを行うよう銀行に指示したと発表した。ただ、実際に支払われるか、どのような形で支払われるかを巡る疑問が渦巻いており、1917年のボリシェビキ革命以来の大規模な対外債務デフォルト(債務不履行)が発生するのではないかとの不安が高まっている。当時、革命で成立したソ連政府は、ロシア帝国の債務継承を拒否した。
ロシアの対外債務とその返済に関する現在の主な問題は、以下の通り。
◎外貨建て債務の規模
ロシアは国際金融市場で起債した15本の債券を抱えており、発行残高は約400億ドルに上る。その約半分を海外投資家が保有する。
16日の利払いは最初の期日で、さらに6億1500万ドル相当が今月中に控えている。元本返済が始まるのは4月4日で、20億ドルの債券が満期を迎える。
これらの債券は期間、契約内容ともまちまち。2014年のロシアによるクリミア編入後の起債分には、ドル以外の通貨による支払いもあり得るとの条項が含まれ、18年以降に上場された債券は代替支払い通貨としてルーブルが明記された。
16日の利払いが予定される2本のユーロ債は13年上場のため、ドル決済が想定されている。支払いを代行するのはシティグループだ。
フィッチ・レーティングスは15日、支払いがルーブルで行われ、30日の猶予期間後も修正されない場合、デフォルトの要件を満たすとの見解を示した。
このユーロ債の目論見書には、ドル以外の通貨での支払いは、受け取り側がドルに交換し、それが公開市場を通じた取引で投資分の回収が可能な金額であった場合にのみ、効力を発すると定められている。
シティはコメントを拒否した。
◎ロシア政府の支払い意思
経済制裁は特にロシア中央銀行の外貨準備凍結という面でじわじわと効果を発揮しており、ロシア政府は貴重になった外貨を外国投資家に送金する事態になることをためらっている。
プーチン大統領が5日に発した命令では、ロシアの債務者は外国債権者にルーブルで支払うことが可能となり、自分たちの資金を政府の特別口座に置くことができる。もっとも中銀と財務省は、幾つかの例外規定も設けた。
大統領令に付随する文書はもう少し微妙な内容で、外貨支払いにも道を開いているように見える。財務省は14日、外貨決済のための暫定的な手続きを承認し、ロシアは期限通り全面的に支払い義務を遂行すると強調した。しかし、外国銀行が支払いを執行できない場合は、ロシア政府が特別講座にルーブルを入金する可能性がある。
◎投資家が資金を受け取れる可能性
欧米とロシアが互いに制裁を実行しているため、ロシアが支払い資金を移動させるだけでなく、外国投資家がそれを受け取るのもわずらわしい構図になっている。
米財務省外国資産管理室(OFAC)は2日、米国人がロシアの財務省、中銀、政府系ファンドの発行した「債券ないし株式に絡む利子、配当、償還金」の受け取りに伴う金融取引を承認した。だが、承認期間は5月25日までで、その後は年末までにロシアは20億ドル近い対外債務の支払い期限がある。
◎デフォルトの現実味
今年2月まで、ロシアの対外債務がデフォルトを起こすとは考えられず、国際金融市場では額面を上回る水準で取引されてきた。状況を一変させたのは欧米の厳しい制裁で、今やロシアの外貨建て債は価格が低迷し、一部は額面の1割程度に沈んでいる。
16日が利払い期日となるユーロ債を含めて、大半の外貨建て債には30日の支払い猶予期間が設定され、この期間が15日という債券もある。ドル以外の支払い通貨条項を持つ債券はわずかで、このユーロ債はドルで支払わなければならない。
アナリストの話では、猶予期間終了までに全額ドルで支払えないか、部分的に他通貨で支払った場合は、デフォルトとみなされる。
◎デフォルトの影響
デフォルトに陥った国は、国際金融市場で資金調達できなくなる。ロシアは既に事実上、国際金融市場から閉め出されているものの、デフォルトが起きればその影響はもっと広い範囲に及んでくる。
まず、破綻リスクに対する保険の意味合いを持つクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の投資家による支払い要求に直面しかねない。JPモルガンの見積もりによると、支払いが必要なCDSの残高は約60億ドルに達する。
さらにロシアの対外債務を保有しているのは、国際的な資産運用会社だけはない。セントロ・クレジット・バンクのエコノミストでロシアを拠点にしているエフゲニー・スボロフ氏は「多くのロシア人投資家が西側銀行の口座を通じて購入した。ロシアの外貨建て債の主要債権者は、ロシア人投資家ではないかとの疑いが濃い」と指摘した。
ロシアの銀行も、ロシアの外貨建て債を資本バッファーに組み込んでいるとすれば、今後問題になる恐れが出てくる。また、ロシア企業は頻繁に国際金融市場で資金調達し、合計1000億ドル近い外貨建て債を抱えるだけに、ソブリン債のデフォルト地域に置かれることによる重圧が大きくなる。
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