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概要:坂口茉莉子 [東京 14日 ロイター] - ドル/円が5年2カ月ぶりの高値を付けたが、市場では上昇の勢いはまだ止まらないとの見方が多い。日米金利差の拡大見通しや、資源高による経常収支の赤字化など円安
坂口茉莉子
[東京 14日 ロイター] - ドル/円が5年2カ月ぶりの高値を付けたが、市場では上昇の勢いはまだ止まらないとの見方が多い。日米金利差の拡大見通しや、資源高による経常収支の赤字化など円安材料が目白押しであるためだ。ウクライナ危機によるリスクオフの円買いが限定的だったことで、「円売りやすし」とのムードが広がっている。
<日本経済に不安>
ウクライナ危機を受けた金融市場の動きで、注目を集めたのがリスクオフの円高がほとんど進まなかったことだ。「日本経済への不安感が強まっている可能性がある。経済が弱いと見られれば、その国の通貨は売られやすい」と、ある外資系金融機関のポートフォリオマネージャーは話す。
日本の経常収支は、1月に1兆1887億円と過去2番目の赤字額を記録した。原油など資源価格が高騰し、貿易・サービス収支の赤字が2兆3422億円と急増したためだ。海外からの配当金など第1次所得収支は1兆2890億円の黒字だったが、補いきれなかった。経常赤字は海外への資金流出を意味し、円安要因となる。
日本は食料品やエネルギーの輸入依存度が高い。一方、工場の海外移転で円安メリットは小さくなっている。円安と円高のどちらが日本経済にとってトータルでプラスかには議論があるものの、足元の資源高でマイナス要因が大きくなっているのは確かだ。
三井住友銀行のチーフストラテジスト、宇野大介氏は、米経済の強さがドル高につながっていると指摘したうえで、「エネルギーや食料を持たざる国である日本の弱点があらわになったことも円売り圧力につながった」とみる。
<金融政策の「差」>
経済の差は金融政策に表れる。米雇用統計やISM景気指数など米国経済のデータは依然堅調。インフレ退治を優先できる力強さを維持している。15─16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では18年12月以来の利上げが決定される見通しだ。
モルガン・スタンレーMUFG証券のエクゼクティブディレクター、杉崎弘一氏は「経済動向に対する予想を反映している米国の景気循環株は高水準を維持しており、株式市場はリセッションを織り込んでいない」と指摘する。
欧州中央銀行(ECB)も10日の理事会で量的緩和の縮小を加速することを決定。エネルギー価格の高騰によるスタグフレーション懸念よりも、インフレ抑制を優先した。一方、17―18日の日銀金融政策決定会合では現行の金融緩和姿勢が維持されるとの見方が大勢となっている。
「米国に続き、欧州まで金融政策の舵をタカ派方向に切る中、日本だけが金融緩和を維持している。この先、マイナス金利政策を解除したとしても米国のようにどんどん利上げできるとはみられていない。円を売りやすいムードが強まっている」と、東海東京調査センターの金利・為替シニアストラテジスト、柴田秀樹氏は指摘する。
<120円が視界に>
FXcoinの取締役、上田眞理人氏は「日本だけが別世界にいる印象で、円を買う魅力がない」とした上で、ウクライナ問題がなければ「円は独歩安になってもおかしくない」との見方を示す。
モルガン・スタンレーMUFG証券の杉崎氏は、3月のFOMCで公表される24年の政策金利見通し(ドットチャート)が2.5%を超えるなど、ターミナルレートの上昇につながれば、ドル/円は一段高となる可能性があると指摘。「瞬間風速で120円を付ける可能性もある」と予想する。
心理的節目の120円を抜けると、「黒田シーリング」の125円が視界に入る。「黒田シーリング」とは、黒田東彦日銀総裁が2015年6月10日の衆院財務金融委員会で「実質実効相場からみればかなりの円安水準となっている」と発言した同日のドル/円の高値が124.63円であったことから、125円付近が1つのめどとみられている。
日本は今年、参議院選挙を控える中、「これ以上の円安が進めばけん制する動きが出てくる」(あおぞら銀行のチーフマーケットストラテジスト、諸我晃氏)との見方も多い。日銀など当局からの「口先介入」などが出れば、いったんドル/円の上値を抑える可能性もある。
(坂口茉莉子 編集:伊賀大記)
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