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概要:ケンコーマヨネーズ<2915>(東1、新市場区分プライム)はマヨネーズ・ドレッシング分野からタマゴ加工品やサラダ・総菜分野へと事業領域を拡大している。22年3月期は需要回復して増収だが、食用油や鶏卵な
ケンコーマヨネーズ<2915>(東1、新市場区分プライム)はマヨネーズ・ドレッシング分野からタマゴ加工品やサラダ・総菜分野へと事業領域を拡大している。22年3月期は需要回復して増収だが、食用油や鶏卵など原料価格高騰で減益予想としている。そして第3四半期累計は減益だった。ただし利益進捗率が高水準だった。価格改定効果に加えて、生産効率化効果や販管費コントロール効果なども寄与して、通期予想に上振れ余地がありそうだ。さらに23年3月期の収益拡大を期待したい。株価は底固め完了して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。
■マヨネーズ・ドレッシング類、ロングライフサラダの大手
サラダ・総菜類、タマゴ加工品、マヨネーズ・ドレッシング類の調味料・加工食品事業、フレッシュ総菜(日配サラダ、総菜)およびグループ内生産受託の総菜関連事業等、その他(ショップ事業など)を展開している。ロングライフサラダは国内1位、マヨネーズ・ドレッシング類は国内2位の市場シェアである。ショップ事業のサラダ専門店Salad Cafe(サラダカフェ)は百貨店などに出店し、主に女性をターゲットにした顧客拡大戦略を推進している。
21年3月期の商材別売上高構成比はサラダ類44%、タマゴ類26%、マヨネーズ・ドレッシング類25%、その他6%、分野別売上高構成比は量販店28%、CVS27%、外食24%、パン13%、給食4%、その他4%だった。21年3月期はコロナ禍の影響で量販店向けの構成比が上昇し、外食向けが低下した。
収益面では、鶏卵や野菜などの原材料価格が変動要因となりやすく、プロダクトミックス、工場操業度、原燃料コストなどの影響を受ける。利益還元については連結ベースでの配当性向20%を意識し、配当の継続性に配慮しつつ、今後の成長と発展にあわせて安定配当水準を高めていくことを基本方針としている。
■事業領域拡大と生産能力増強を推進
中期経営計画KENKO Transformation Plan(21年度~23年度)では、目標値に24年3月期売上高800億円、経常利益40億円を掲げている。withコロナ・afterコロナという事業環境変化に対応し、基本方針として4つのテーマ(BtoBtoC、イノベーション、構造改革、グローバル)に取り組む。
BtoBtoCでは消費者へのブランド認知度向上、使い切り・個食形態の商品開発、イノベーションではSDGsの観点を取り入れたメニュー・商品開発(賞味期限延長など)、サラダショップ展開の加速、生産面でのカーボンニュートラルの実現(静岡富士山工場を環境モデル工場と位置付け)、構造改革では基盤事業の継続成長に向けた取り組み(働き方・働きがい改革、新基幹システム導入、ガバナンス向上)、グローバルでは海外拠点(北米販売拠点設立検討、インドネシアIKI社への支援拡大)や輸出販売の拡大などを推進する。
21年12月には、サラダ専門店Salad Cafe監修シリーズ第6弾「フムスと食べるタンドリー風チキンのサラダ」を、全国(北海道、沖縄県を除く)のファミリーマートで発売した。
22年1月には、子会社の関東ダイエットクックが首都圏のスーパーマーケットの惣菜売場において、低糖質かつ高たんぱく質で注目の豆腐干(とうふかん)を使用した「豆腐干とザーサイの担々風サラダ」と「豆腐干の塩ダレ風サラダ」を発売開始した。またサラダカフェの「だしの旨み香る和風オニスラポテトサラダ」が「SARAH JAPAN MENU AWARD 2021」の関東地区・ポテトサラダジャンルにおいて二つ星を獲得した。
サステナビリティへの取り組みも強化している。21年7月には「食を通じて世の中に貢献する」という企業理念に基づいてサステナビリティ方針を公開した。加工ロス削減による廃棄物削減などの目標を設定した。21年9月には「国連食料システムサミット2021」への支持表明とコミットメント提出を発表した。21年10月には静岡富士山工場が障害者雇用優良事業所として静岡県知事褒賞を受賞した。
■22年3月期減益予想だが、3Q累計利益進捗率高水準で通期上振れ余地
22年3月期の連結業績予想(収益認識会計基準適用だが損益への影響なし)は、売上高が21年3月期比6.9%増の732億円、営業利益が27.6%減の14億30百万円、経常利益が26.9%減の15億円、そして親会社株主帰属当期純利益が28.0%減の10億50百万円としている。配当予想は5円減配の15円(第2四半期末7円、期末8円)としている。
第3四半期累計は、売上高が前年同期比10.4%増の575億80百万円、営業利益が13.1%減の13億39百万円、経常利益が17.9%減の13億28百万円、親会社株主帰属四半期純利益が21.4%減の8億87百万円だった。ファストフード向けの好調や外食分野の回復などで2桁増収だが、原料価格高騰の影響で減益だった。
調味料・加工食品事業は売上高が11.0%増の438億50百万円、セグメント利益(調整前経常利益)が39.0%増の17億46百万円だった。ファストフード向けの好調、外食分野の回復に加えて、21年7月からのマヨネーズ類の価格改定効果も寄与した。
総菜関連事業等は売上高が8.6%増の130億71百万円、利益が83.0%増の7億95百万円だった。中食需要も背景としてダイエットクック白老および関東ダイエットクック神奈川工場の売上が順調に拡大し、稼働率向上で利益も拡大した。
四半期別に見ると第1四半期は売上高182億82百万円、営業利益4億03百万円、経常利益4億15百万円、第2四半期は売上高192億05百万円、営業利益2億97百万円、経常利益2億84百万円、第3四半期は売上高200億93百万円、営業利益6億39百万円、経常利益6億29百万円だった。第2四半期は原材料価格高騰が影響した形だ。
通期予想は据え置いた。テイクアウト需要に対応した商品ラインナップの拡充、ドラッグストアなど新販路の拡大、サラダ専門店Salad Cafeのブランド強化などで増収を見込むが、食用油や鶏卵など原料価格高騰で減益予想としている。
通期の売上高の計画は、調味料・加工食品事業が7.1%増の552億91百万円(サラダ・総菜類が1.5%増の164億58百万円、タマゴ加工品が4.5%増の181億64百万円、マヨネーズ・ドレッシング類が15.6%増の196億45百万円)で、総菜関連事業等が5.8%増の169億85百万円、その他(Salad Cafeなど)が10.9%増の9億23百万円としている。
経常利益の前期比5億50百万円減益の要因別予想は、増益が売上高増加で17億08百万円(上期5億97百万円、下期11億11百万円)、生産効率で10億74百万円(上期9億17百万円、下期1億57百万円)、固定経費1億24百万円(上期は10百万円減益要因だが、下期は1億34百万円増益要因)、減益が原材料価格34億56百万円(上期14億29百万円、下期20億27百万円)としている。
第3四半期累計の進捗率は売上高が78.7%、営業利益が93.6%、経常利益が88.5%、親会社株主帰属当期純利益が84.5%で、利益進捗率が高水準だった。価格改定効果(マヨネーズ類が21年7月1日出荷分から実施、ロングライフサラダが21年12月1日出荷分から実施、マヨネーズ・ドレッシング類およびソース類が22年1月1日出荷分から実施)に加えて、生産効率化効果や販管費コントロール効果なども寄与して、通期予想に上振れ余地がありそうだ。さらに23年3月期の収益拡大を期待したい。
■株主優待制度は毎年3月末の株主対象
株主優待制度は毎年3月末日現在の株主を対象として、保有株式数に応じて当社商品を贈呈(詳細は会社HP参照)している。
■株価は反発の動き
株価は底固め完了して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。2月24日の終値は1377円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS63円73銭で算出)は約22倍、今期予想配当利回り(会社予想の15円で算出)は約1.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2159円46銭で算出)は約0.6倍、時価総額は約227億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)
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