ロシアの親ロ派地域独立承認、日本は制裁含む厳しい対応を調整

［東京 ２２日 ロイター］ - 日本政府は２２日、ロシアがウクライナの親ロ派地域の独立を承認したことなどについて強く非難し、制裁を含む対応を調整していく方針を明らかにした。

岸田文雄首相は記者団に対し、ロシアの行為は「ウクライナの主権と領土の一体性を侵害するものであり、認めることはできない」と非難した。また、事態の展開を深刻な懸念をもって注視していくとともに、侵攻があった場合は、主要７カ国（Ｇ７）をはじめとする国際社会と連携しながら「制裁を含む強い対応について調整していく」と述べた。

ロシアのプーチン大統領は２１日、ウクライナ東部の「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の独立を認める大統領令に署名。ロシア軍に軍事基地等の建設使用の権利を与える友好協力相互支援協定に署名した。

米国はロシアのこうした動きに対し、２２日に新たな制裁を発表する。

松野博一官房長官は閣議後会見で「現時点までに邦人の生命、身体に被害が及んでいるとの情報には接していない」と述べた。

その上で、退避を希望する日本人が速やかに安全な場所に移動できることが何よりも重要だと強調。政府として、近隣国にチャーター機の手配をすでに済ませるなど、さまざまな準備を行っていると語った。

日本経済への影響について、萩生田光一経済産業相は「エネルギーなど重要物資の安定供給の確保の懸念だけでなく、足元で上昇傾向にある原油価格動向や日本企業への影響を含め、高い警戒感を持って注視している」と述べた。

また、ウクライナ情勢が半導体の製造に及ぼす影響については「ウクライナから調達する物資は、複数の国から調達が可能であることも踏まえ、現時点で主要企業から製造に特段影響があるとは聞いていない」と語った。

２２日の市場では原油、金などが上昇。日経平均は前日比６００円を超す下げとなっている。市場参加者からは「休場明けの米国市場で値動きが拡大する可能性に注意が必要」（国内証券）との声が聞かれた。