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概要:「インフレになればナスダック上場銘柄、テック銘柄など人気の銘柄は全滅」とされるなか、米大手投資銀行JPモルガンは「市場の穴」とされる期待の投資セグメントを「中小型株」として、そこに吹く追い風を詳細に解説しています。
株式市場の大幅下落で調整局面入りが指摘されるなか、JPモルガンはある投資セグメントに大きなリターンの可能性を見出したようです。画像はニューヨーク証券取引所(NYSE)のトレーダー、金融専門家の姿。
Drew Angerer/Getty Images
著名テクノロジー企業が顔を揃えるナスダック100指数(=世界最大の新興企業向けナスダック市場の時価総額上位100社、非金融)が2021年11月に付けた史上最高値から10%下落、調整局面入りした。
金利上昇と米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締めが想定されるなか、投資家たちは新たなアウトパフォーム(=ベンチマークとする指標を上回る投資運用成績)の源泉を求めて、他の市場に逃げ場を探している。
この「ダッシュ・フロム・トラッシュ」(=企業価値やファンダメンタルズで説明の難しい株価高騰に投資家が殺到する状態を「ダッシュ・トゥ・トラッシュ」と呼ぶが、ここではその逆の流れを指す)の恩恵を受けているのがバリュー株だ。
※バリュー株……利益や純資産などで評価した企業価値に比べて株価が割安のまま放置されている銘柄。株式市場全体が下がるときでも、バリュー株の下落率は相対的に小さいとされる。
ナスダック100指数が年初来12.5%の下落を記録するなか、ラッセル1000バリュー指数は3.6%の下落にとどまっている(2022年1月21日時点)。
こうした投資家の動きは、株価評価の「泡立ち」に懸念を示していた多くの資産運用会社の予測に合致するものだ。
英資産運用大手ジャナス・ヘンダーソンのポートフォリオマネージャー、ジョン・ベネットは2021年6月時点でInsiderにこう語っている。
「インフレになれば、ハイマルチプル(=利益や純資産などに対し株価が割高の)銘柄は壊滅します。ナスダック上場銘柄、テック銘柄、いま人気の銘柄は全滅です」
投資家たちがバリュー株にチャンスを求めるかたわら、見落とされがちな「穴(場)」が中小企業だ。バリュー運用では中小型株のエクスポージャー(=リスクにさらされる資産の比率)が高くなる傾向がある。
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米投資銀行大手JPモルガン・チェースによれば、中小型株のなかでもとりわけバリュー株へのエクスポージャーが高いファンドが増えているという。
同行株式アナリストのエドゥアルド・レクバリは顧客向けレポート(1月7日付)でこう分析している。
「バリュー株は2021年もアルファ(=市場平均に対する超過リターン)のドライバーであり続けることは確実です。それゆえに、バリュー株は本レポートで紹介する推奨アセットアロケーション(=資産配分)の重要な指標でもあります」
この見方は、時価総額1億ドル(約114億円)から50億ドル(約5700億円)の銘柄を強気評価とする、同銀発表の中小型株に関する見通しレポートに盛り込まれたものだ。
「当行の分析では、中小型株は、依然として非常に強いマクロ経済見通し、それを反映した堅固なファンダメンタルズの恩恵を受けているにもかかわらず、株価評価はさほど高くなく、価格予測も近年に比べてはるかに現実的な水準にあり、テクニカル(=株価変動データのパターン)は大きなアップサイドあるいはアルファの可能性を示しています」
S&P500やナスダック100などアメリカを代表する株価指数のリターンは今後10年にわたって低迷するとみる投資家やアナリストも多いなか、JPモルガンのレクバリは、中小型株の個別銘柄レベルではまだアウトパフォームの大きなチャンスがあるとみている。
「過剰な成長期待をベースにした割高なマルチプル銘柄に見切りをつけ、GARP(=成長性と割安性の両方を重視する)投資戦略に向いた銘柄、あるいは大きなリカバリーストーリーの余地のある銘柄にフォーカスすることで、大きなアップサイドあるいはアルファを得られる可能性はまだまだあります」
2022年、中小型株に吹く「5つの追い風」
レクバリは前出のレポート(1月7日付)で、中小型株のアウトパフォームにつながる「5つの追い風」について解説している。
1.マクロ環境は引き続き中小型株の成長をあと押しする
JPモルガンがレポート(1月7日付)に掲載した消費者信頼感指数に関するチャート。
JP Morgan
コモディティ相場の上昇が引き続き進んでいること、消費者にはまだ「(消費増の)火力が残っており、それを解き放ちたい欲望もある」ことなど、中小型株にプラスの影響をおよぼすマクロ経済上の「触媒」がいくつか残っていることを、JPモルガンは強調している。
2.中小型株の債務規模は適正
JPモルガンがレポート(1月7日付)に掲載した、イギリス、アメリカ、カナダ、欧州の各市場における対EBITDA純負債(大型株は黒線、中小型株は青線)の比較チャート。
JP Morgan
ファンダメンタルズは、中小型株の債務状況が適切であることを示しており、利益率の回復とともに、EPS(=1株当たり利益)の2ケタ成長が続く。
3.中小型株の価格は過大評価されていない
JPモルガンがレポート(1月7日付)に掲載した、中小型株の予想PER(=株価収益率)の推移チャート。
JP Morgan
中小型株のレラティブバリュー(相対価値)は、とりわけこの先の営業上のアップサイドを踏まえた場合、強気評価が続く。
JPモルガンは2020年4月8日に中小型株の投資判断を強気に変更。中小型株に注目したレラティブバリュー戦略(の有効性)は、過去の平均値を2ケタ%下回る(20年4月当時)中小型株の株価評価と併せて考えると、他の資産クラスより中小型株投資を推奨する強力な理由となると指摘している。
4.セルサイドが設定する中小型株の目標株価は控えめすぎる
JPモルガンがレポート(1月7日付)に掲載した、セルサイドの目標株価に関するチャート。
JP Morgan
JPモルガンによれば、セルサイド(=金融商品を機関投資家などに販売する側の証券会社)のアナリストが予想した目標株価から考えると、1年後には世界のほとんどの市場(地域)で2ケタの超過リターンが期待できるという。
今後12カ月間は引き続き2ケタのEPS(=1株当たり利益)成長を伴うリカバリーストーリーだと考えれば、こうした予測が現実のものとなる可能性は高い。
一方、ストラテジストの予想する目標株価に従った場合、2022年はアップサイドがほとんど想定されない。
5. テクニカルは強気を示している
JPモルガンがレポート(1月7日付)に掲載した、アメリカの代表的な小型株指数ラッセル2000種を対象とする、計算期間30日のレラティブストレングス(RSI)指標の推移。
JP Morgan
中小型株のパフォーマンスは多くの人が認識している以上に抑制されており、現在の株価水準のままならまだたくさんのチャンスがあることを、あらゆるテクニカル(=株価変動のパターン)が示している。
アメリカの小型株について、計算期間30日のレラティブストレングス(RSI)指標から予測すると(過去の変動データから)6カ月後には9.5%のリターンを得られる計算。イギリスや大陸欧州でも1ケタ台前半から半ばのリターンが予測される。
※本記事は取材対象者の知識と経験に基づいて投資の選定ポイントをまとめたものですが、事例として取り上げたいかなる金融商品の売買をも勧めるものではありません。本記事に記載した情報や意見によって読者に発生した損害や損失については、筆者、発行媒体は一切責任を負いません。投資における最終決定はご自身の判断で行ってください。
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(翻訳・編集:川村力)
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