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概要:2022年のドル・円は連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めスタンスで上昇基調に振れ、120円を目指す展開となりそうです。 ただ、米中間選挙でバイデン政権の政策運営に不透明感が広がれば、終盤にかけて失
2022年のドル・円は連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めスタンスで上昇基調に振れ、120円を目指す展開となりそうです。
ただ、米中間選挙でバイデン政権の政策運営に不透明感が広がれば、終盤にかけて失速。
米国株の調整もドルの下押し要因になります。
ドル・円は年初から11月下旬までの間、102円付近から115円半ばまで値を切り上げています。
13円超の変動幅は過去5年間で最大。
FRBの引き締めによるドル高が主要因ですが、日銀の超緩和維持や原油高の日本経済への打撃、NY株式市場の強気相場など円売りが強まったこともドル相場の上昇に寄与しました。
ドル・円は2017年1月以来の高値圏に浮上し、当面の上値メドは118円に切り上げられました。
2022年もドル高・円安の基調は継続しそうです。
FRBは資産買入れの段階的縮小(テーパリング)に着手しており、同年中に2回の利上げが基本シナリオとみられています。
欧州中央銀行(ECB)や英中銀など主要国の中銀はFRBの後塵を拝しており、米金利高・ドル高の地合いに変わりはないでしょう。
日銀が円安の日本経済への影響は限定的と容認姿勢であることも、ドルをさらに押し上げる見通しです。
想定レンジは、ここ数年の下値メドである110円から125円。
来年2月に任期を迎えるパウエルFRB議長が再任、議長昇格が取りざたされたブレイナード理事は副議長就任の方向で、新体制は一見ハト派の印象を受けます。
しかし、実際にはパウエル氏再任が発表されると利上げ加速の思惑が広がっています。
引き締め路線は継続される見通しですし、2016年12月以来の118円台が視野に入ってきそうです。
節目の120円付近では売りが強まり、ドル高はいったん収束するかもしれません。
その要因となるのが、11月の米中間選挙です。
就任1期目は鬼門となり、支持率の低下に悩むバイデン政権は上下院いずれかで民主党の勢力縮小を余儀なくされるとみます。
「ねじれ」の議会で政策運営は行き詰まり、米国経済の先行き不透明感からドルは一転して売り優勢に。
FRBの利上げ効果も薄れ、ドルを支えきれないとみられます。
かく乱要因は、やはり新型コロナウイルスのまん延でしょう。
ヨーロッパでは感染再拡大が警戒され、今後アメリカに波及し再びロックダウン(都市封鎖)など制限措置が講じられれば経済活動の抑制により景気は腰折れに。
NY株式市場はここ数年の絶好調の反動もあって調整が予想されます。
また、FRBも引き締めを緩めざるをえず、ドル買い・円売りの巻き戻しは避けられません。
(吉池 威)
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