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概要:ベトナム北部のバクザン省は国内でも特に貧しい農村地帯だったが、テクノロジー企業の世界的サプライチェーンに組み込まれたことで一変した。
ベトナム北部のバクザン省は国内でも特に貧しい農村地帯だったが、テクノロジー企業の世界的サプライチェーンに組み込まれたことで一変した。
バクザンにあるバンチュン工業団地に通う人々
同省は今年の輸出が110億ドル(約1兆1500億円)に達すると予想。6年間で10倍の急増だ。道路は舗装されてトヨタのスポーツタイプ多目的車(SUV)やメルセデスのセダンが行き交い、地元住民は古いバイクを買い換えてホンダの新型二輪車に乗るようになった。
「工場のおかげで今の生活は天国のようだ」とグエン・バン・ランさん(64)は言う。かつて肉を買う余裕もなかった一家だが、現在は工場で働いて得た給料を貯め、労働者用の宿泊施設を建て経営している。工場従業員向け融資業を手掛ける親族の1人は赤いメルセデス・ベンツに乗っている。
ホテルの建設が進められている
バクザンのブームは、世界的サプライチェーンの変化がこれまで取り残されてきた地域にいかに影響を及ぼすかを浮き彫りにする。ベトナム共産党指導部はこれまでのところ国内のコロナ感染拡大を抑えており、中国の人件費が上昇して米中貿易戦争が続く中、洗練された製造業を呼び込むベトナムの能力は一段と高まっている。
ベトナム戦争の終結を経て、外国からの投資受け入れと対外貿易が始まっても、バクザンは貧しいままだった。政府統計によれば、2010年時点で1人当たりの所得は650ドルと、全国の半分ほど。それが今年は3000ドルが見込まれている。
ベトナム北部経済の扉をたたいたのは韓国サムスン電子などのメーカーだ。 同社製スマートフォンの半分が今やベトナム北部の省で生産されている。
地元メディアによれば、アップル製品を組み立てる台湾の和碩聯合科技(ペガトロン)は、北部の港湾都市ハイフォンに10億ドルを投資する計画だ。アップルは最近、メカニカル品質エンジニアやサプライチェーン業務・行政関係を担当するマネジャーなどの人材をベトナムで求めている。
バンチュン工業団地近くの通り
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