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概要:パンデミック以降、オンラインサービスの「Web回帰」を指摘する声は増えている。モバイルで接触するWebとアプリの変化の最新状況を、モバイル広告企業などの調査から紐解いてみよう。
コロナはインターネットの利用時間も変えた。
Vasin Lee/shutterstock
この記事はeMarketerによる調査レポート「2020年:アメリカにおけるモバイル機器利用時間内訳(US Mobile Time Spent 2020)」のプレビュー版。レポート完全版(有料)はこちらから
モバイル機器の利用時間の大部分はインターネット上で過ごされている。eMarketerの推定では、2020年にアメリカの成人がモバイル機器を使ってネットに接続するのは1日平均4時間以上になり、その時間の88%はアプリ利用に充てられる。
アメリカにおける、モバイル機器のユーザー数の推移と予測(2018〜2022年)。
Business Insider Intelligence
アプリの利用時間の比率は年々伸びている(ただし、eMarketerの統計ではFacebookやTwitterなどのアプリ内ブラウザの閲覧時間は短く見積もられている場合がある)。
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ブラウザ利用率が高いのはスマホよりタブレット
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アメリカにおける、タブレット端末の1日あたりの平均利用時間(音声通話を除く)の推移と予測(2018〜2022年)。
Business Insider Intelligence
アメリカにおける、スマートフォンの1日あたりの平均利用時間(音声通話を除く)の推移と予測(2018〜2022年)。
Business Insider Intelligence
タブレット端末に関しては、2020年の1日あたりの利用時間の83%がアプリに使われる。これは数年前と比較して大きな増加だ。しかし、スマホの利用時間のうちアプリが占める90%という数字よりは少ない。
「ブラウザ利用の比率がタブレットでの方が高い」のはなぜなのか。おそらくそれは、未だウェブベースが主流であるネットショッピングにタブレット端末が使われることが多いためだろう。
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「アプリとブラウザの境界線」は曖昧になってきている
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アメリカにおける、モバイル機器でのインターネット利用時間の変化の予想推移(2020年4月時点)。1日あたりの平均利用時間の推移と予測している(2018〜2022年)。赤が「アプリ利用」を、黒が「ブラウザ利用」を、それぞれ示している。
Business Insider Intelligence
しかし、アプリとブラウザの利用時間の境界線はますます曖昧になってきている。
Kargo(モバイル広告専業企業)とVerto Analyticsによる2019年の調査では、Facebookでの滞在時間の9%がアプリ内ブラウザで過ごされている。一方で先端的なウェブサイトは、アプリとさほど変わらないユーザー体験を提供できる。
モバイル機器のユーザーが、「ネイティブアプリの方が使いやすい」と感じていることは確かだ。しかし今後ウェブ技術の向上により、アプリと同等のユーザー体験をJavaScriptで実現できるようになるかもしれない。
新型コロナウイルスの感染拡大は、モバイル機器でのアプリ利用とウェブ利用の比重にも影響を及ぼしている。
パンデミック以降、アプリでの利用時間が最も伸びたのが「ソーシャルメディア」「動画」「メッセージアプリ」だ。それ以外に関しては、それほどはっきりとした影響は見られず、ウェブサイトへのトラフィックが増えた可能性もある。
コロナで閲覧が伸びた「法律・政府」と「健康」関連サイト
ウェブ解析ツールなどを提供するSimilarWeb(シミラーウェブ)のデータによると、2020年4月の「モバイルでのウェブトラフィック」は前年同月比で11.4%増加した。トップ100位以内のサイトへのモバイル・トラフィックの半数以上(55.6%)を占めたのが、同社が「コンピュータ、電子機器、テクノロジー(Computers Electronics and Technology)」というカテゴリーに分類するサイトだった。この中にはサーチエンジンやソーシャルメディアも含まれている。
トラフィックの増加率が最も高かったのが「法律・政府」と「健康」関連のサイトで、それぞれ前年に比べ44.9%と54.9%伸びた。政府関連サイトでトラフィックが最も伸びたのがcdc.gov(米国疾病予防管理センターのサイト)で、3月は前年比1870%増、4月は990%増となった。
プッシュ通知の開封率が上がった
eMarketerによる調査レポート「2020年:アメリカにおけるモバイル機器利用時間内訳(US Mobile Time Spent 2020)」
Business Insider Intelligence
マーケターに向けて、メッセージサービスなどのカスタマーエンゲージメント・ツールを提供する企業Iterableによる調査でも、モバイルでのウェブ利用の増加がみられている。
同社によると、2月から3月にかけてWebプッシュ通知は37.5%増えている。同じ時期にアプリのプッシュ通知は5.2%減少しているが、開封率は28.5%増となっている。
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Iterableのブランドマーケティング部門の責任者Alyssa Jarrett氏は次のように述べている。「我々の顧客はアプリ内メッセージを減らし、プッシュ通知やメールの比重を増やしている。しかし、モバイル機器でのメッセージ開封率はパンデミック前に比べ高くなっている」。
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[原文:Apps far outpace browsers in Americans' mobile time spent]
(翻訳・野澤朋代)
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