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概要:ロート製薬のコロナ決算が興味深い。「メンソレータム」などリップクリームが9割減の打撃を受ける一方、高付加価値商品は売れ続けたのだ。
ロート製薬の高額目薬とリップクリーム。売れ行きは明暗が分かれた。
撮影:伊藤有/三ツ村崇志
8月11日、目薬などのアイケア用品などで知られるロート製薬は2021年度3月期第1四半期決算を発表。
売上は約386億円で前年同期比で約7.8%減。営業利益は約39億円の0.4%増と、新型コロナウイルスの影響で世界的に売上が減少する中でも本業の売り上げは維持した。
売上が減少するなか、広告費などを削減することで営業利益が残った。
出典:2021年3月期第1四半期説明資料
その要因は何だったのか。
ロート製薬も、当然新型コロナウイルスの影響を受けている。
とくに国内の売上では、海外からやってくる観光客が減少したこともあり、インバウンド需要がほぼ半減。さらに、日焼け止めやコンタクトレンズ関連商品などは、外出自粛の影響で大きく売上が減少した製品が目立つ。
リップクリームに至っては、前年同期比で売上が約9割も減少した。
ただし、同社広報担当によると、もともと4月〜6月は冬の乾燥する時期に比べてリップクリープの販売量は少なく、9割減という数値の印象ほど打撃は大きくはなかったという。
実際、前年度並の売上があったとしても6億円程度。全体の売上高への影響は限定的だ。
高額目薬やスキンケア商品などは堅調に売り上げを伸ばした。
出典:2021年3月期第1四半期説明資料
コロナウイルスの影響で外出とひも付きやすい製品の売上が減少した一方で、意外な動きもある。同社主力商品である高額の目薬やスキンケア商品などの高付加価値製品の売り上げは堅調に推移した。
その結果、国内市場全体でみると、売上高は1.6%減とほぼ前年と同等にとどまった。
また、営業利益は6割増と顕著な成長を見せた。
同社広報担当はその要因の一つとして、コロナ禍に突入する以前から取り組んできた、原価低減策や広告費などの効率的なコントロールが成功したことを挙げる。
これは、コロナ禍で利益を確保できている多くの企業に共通した特徴だといえるだろう。
また、割合はそこまで大きくはないが、2020年3月に正式に子会社になった日本点眼薬研究所の売上や、ロート製薬の医薬品開発・製造受託子会社の堅調な売上が、国内の売上を下支えしたとしている。
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(文・三ツ村崇志)
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