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概要:新日鉄住金(現日本製鉄)が元徴用工への賠償を命じられた判決に関連し、韓国の大邱地裁浦項支部からの資産差し押さえ命令の書類が日本製鉄側に届いたと見なす「公示送達」の効力が4日午前0時に発生した。これを受け、韓国内にある日本製鉄の資産の現金化に向けた司法手続きが始まることになる。
新日鉄住金(現日本製鉄)が元徴用工への賠償を命じられた判決に関連し、韓国の大邱地裁浦項支部からの資産差し押さえ命令の書類が日本製鉄側に届いたと見なす「公示送達」の効力が4日午前0時に発生した。これを受け、韓国内にある日本製鉄の資産の現金化に向けた司法手続きが始まることになる。
韓国の裁判所は、韓国鉄鋼会社ポスコとの合弁会社株式の日本製鉄の持ち分を差し押さえており、その価値は約35万6000ドル(約3800万円)。ただ、手続き完了には数カ月かかるため、直ちに現金化されるわけではない。
日本製鉄は4日、公示送達が発効した資産差し押さえ命令に対し、即時抗告する予定だとコメント。広報センターの吉住剛氏はブルームバーグに対し、「いわゆる徴用工問題は、国家間の正式な合意である日韓請求権・経済協力協定(1965年6月)により、『完全かつ最終的に解決された』ものと理解している。当社としては、引き続き日韓両国政府による外交交渉の状況等も踏まえ、適切に対応していく」とした。
韓国最高裁は2018年、1910-45年の日本による朝鮮半島統治時代に徴用された労働者について、日本製鉄と三菱重工業の損害賠償責任を認定する判断を下した。
日本側は元徴用工問題が1965年の日韓請求権協定で解決済みとの立場を変えていない。これに対し、韓国側は強制労働させられた一部の労働者について、精神的な苦痛などに対し十分な補償が行われていないとしている。
菅義偉官房長官は4日の記者会見で、韓国側の司法手続きは「明確な国際法違反」であるとした上で、資産の現金化は「深刻な状況を招くので、避けなければならない」と指摘。こうした日本政府の立場は、韓国側に繰り返し伝えており、「今後とも韓国側に早期に解決をするよう強く求めていきたい」と述べた。
日本政府の今後の具体的な対応について菅氏は、「明らかにすることは差し控える」としつつ、「日本企業の正当な経済活動の保護の観点から、あらゆる選択肢を視野に入れて、引き続き毅然(きぜん)と対応していきたい」との考えを示した。
中国を利する可能性
日本政府が差し押さえ資産の現金化が行われた場合、「深刻な状況を招く」とけん制していることに対し、韓国政府は日本の動きへの対抗策を既に検討中だとしている。
日韓の対立は中国を利する可能性があると、清華カーネギーグローバル政策センター(北京)研究員の趙通氏は分析。「日韓の溝が広がることは、日本との歴史問題を抱える中国と韓国が良好な関係を維持し、日米韓3カ国の安保同盟が真の形にならないようにするのに役立つ可能性がある」と指摘した。
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