简体中文
繁體中文
English
Pусский
日本語
ภาษาไทย
Tiếng Việt
Bahasa Indonesia
Español
हिन्दी
Filippiiniläinen
Français
Deutsch
Português
Türkçe
한국어
العربية
概要:アメリカの5月の雇用統計の内容は悲惨だった。いよいよ雇用・賃金情勢も失速し始めた、との疑いを抱かざるを得ない。6月のFOMCは「無風」との見方が目立つが、本当にそうだろうか?
アメリカの港に停められている輸入車。自動車関税などが焦点となる日米貿易協議も今後本格化するが、アメリカの対メキシコ関税を巡る今回の騒動を経て、先行きの不透明感は増した。
REUTERS/Eduardo Munoz
米経済に打撃を与えかねない「メキシコへの関税見送り」は確かに良い材料だが、少なくとも2つの不安がある。
第1に、今回の騒動を通じて「通商と無関係のトピックであっても関税で脅迫して戦果を得る」というアプローチが「あり」だということになってしまった。
そもそも不法移民の流入数と関税の水準の間には何の因果関係もない。にもかかわらず、メキシコはあっさり譲歩してしまった。
今後、別の国(日本かもしれない)が同じようなアプローチを食らう恐れが出てきたという意味で、不透明感は増したのではないか。とりわけ企業はそのように考える向きが多いと推測する。
日計りの動きを繰り返す金融市場と異なり、民間企業の投資行動はより慎重を期して行われる。今回のメキシコ騒動は企業のリスク許容度を毀損した疑いが強く、メキシコに限らずアメリカと通商関係でもめそうな地域への投資計画は逡巡せざるを得ないだろう。
一口に「不透明感」と言っても、企業のそれは市場よりも粘着性が強く、払拭は容易ではないと考えられる。
第2に、アメリカへの不法移民流入を防ぐためにメキシコが打ち出した今回の施策が実効性を持たなかった場合、トランプ大統領は間違いなくまた同じことをやるだろう。
実際、メキシコからアメリカに入る不法移民よりも、それ以外のルートから入ってくる移民の方が多いという指摘が目立つ。今回の一件については、そもそも移民問題で強く出られない米議会がトランプ大統領を制止することができなかったという側面もある。やはり再発性の高いトピックと考えた方がいいのではないか。
雇用・賃金情勢の失速が利下げ予想にダメ押し
多くの市場参加者は6月のFOMCを「無風」と読んでいそうだが、「サプライズ利下げ」もなくはない。
REUTERS/Brendan McDermid
目先の注目は、雇用・賃金の失速が本物だとして、それをFRBがどの程度深刻に受け止めるかである。
雇用や賃金は、景気の変動に対して遅れがちに変化する、いわゆる「遅行系列」である。本来はその失速が明らかになる前に金融政策は調整される必要があり、「次の一手」へのヒントにはなり得ない。
だが、【図表3】に示されるように、アメリカの政策金利である「FF金利」と失業率の軌道は歴史的におおむね一致してきた。結局、FRBは雇用市場の失速とともに利上げを止め、利下げに転じてきたというのが実情に近いのだろう。
関連記事
「消費増税→日銀が追加緩和」でも円高リスク。トランプ政権の尻ぬぐい迫られるFRB
唐鎌大輔:慶應義塾大学卒業後、日本貿易振興機構、日本経済研究センターを経て欧州委員会経済金融総局に出向。2008年10月からみずほコーポレート銀行(現・みずほ銀行)国際為替部でチーフマーケット・エコノミストを務める。
免責事項:
このコンテンツの見解は筆者個人的な見解を示すものに過ぎず、当社の投資アドバイスではありません。当サイトは、記事情報の正確性、完全性、適時性を保証するものではなく、情報の使用または関連コンテンツにより生じた、いかなる損失に対しても責任は負いません。