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概要:CES2019のエウレカパークには、各国のスタートアップが集まった。代表的な例はフレンチテックだが、日本のJ-StartupやJAPAN TECHも盛況だ。
CES2019でもEureka Parkには各国のスタートアップが集まった。
撮影:伊藤有
先端技術が集まる、世界最大級のテクノロジーショーとして知られるCESだが、今や世界中から数多くのものづくりスタートアップが集う、巨大なスタートアップの見本市という側面も併せ持つようになっている。
その象徴とも言えるのが、CESのメイン会場のひとつSands Expoの1階に広がる、スタートアップエリア「Eureka Park(エウレカパーク)」だ。
一大勢力のフレンチテック依然として勢いのある“フレンチテック”。
撮影:伊藤有
J-Startup(赤線)とフレンチテック(オレンジ線)の比較面積だけでもこれだけの差がある。日本勢はブース設計の見せ方と出展企業の話題性で面積以上の存在感を示していた、というのは贔屓目なしの印象だ。
撮影:伊藤有
このエウレカパークには、コンシューマーテクノロジーに属する独自ブランドの最新製品&サービスで、プロトタイプやモックアップの展示が可能(出展できるのは最大でも2年まで)なもの、となかなか厳しい出展要件が設けられている。これをクリアするスタートアップのみが参加を許される。
さらに、Park内には世界40カ国以上から1200社を超えるスタートアップがブースを連ねており、単独出展では埋もれてしまうというかなり厳しい環境だ。そこでここ数年は、「Indiegogo」などの大手クラウドファンディング系のグループに加え、国や地域ごとのグループがまとまってパビリオンを構えるケースが目立つようになってきている。
中でもフランスが国を挙げて支援するフレンチテックは一際大きなグループだ。今年は160社がフレンチテックパビリオンに参加。ほかにもフランスの地域別グループを含めると、「La French Tech」ブランドでの出展は325社以上と一大勢力を築いている。
「J-Startup」がCES2019に初出展エウレカパークに出展された、J-Startupのパビリオン。赤色のロゴが目立つデザインで囲われたスペースに、22社がブースを連ねた。
このフレンチテックの動きに大きな刺激を受けて、2018年6月に経産省肝入りでスタートしたのが日本のスタートアップ企業支援事業「J-Startup」だ。厳正な審査のもと採択されたスタートアップ企業をJ-Startupの名のもとで言わば“特待生”化し、さまざまな支援を行っていこうというものだ。
CES2019ではJ-Startupとして初めて、エウレカパークにパビリオンを出展。12月に愛玩ロボット「LOVOT」を発表したGROOVE Xや、コネクテッドロックのtsumugなど特待生6社を含む、スタートアップ22社が参加している。2018年まで日本のスタートアップのエウレカパークへの出展は、単独のものを除くとJETRO(日本貿易振興機構)が支援する数社のみだったことを思えば、大きな一歩と言えるだろう。
2019年のJ-Startupの出展に向けては、そのJETROが中心となって周到に準備が進められてきた。7月にはスタートアップ企業や関係者を集めた、キックオフイベントも開催した。
Shiftallの自動補充サービス「DrinkShift」。冷媒を使わないペルチェ式の冷却方式で、重量センサーによって入っているビールの種類を認識。しばらく使っていると、オーナーの消費量を自動認識して、自動的にビールを発注して常にビールを補充した状態にできる個人向けサービス。
撮影:伊藤有
電玉社のスマートIoTケンダマ。
撮影:伊藤有
また、CESの出展に豊富な経験を持つスタートアップ企業Cerevoの前CEOで、今年は新会社ShiftallとしてJ-Startupパビリオンに参加する岩佐琢磨氏も、アドバイザーとして知見を提供してきた。
そうした甲斐もあってか、J-Startupパビリオンには初日から多くの人が訪れ、出展者はその対応に追われるうれしい悲鳴をあげていた。会期前日には世耕弘成経済産業大臣も会場を視察し、一定の時間をかけて1社1社の説明に耳を傾けたという。
もう1つの日本勢JAPAN TECHにも注目集まる出展企業は少ないものの、クラウドファンディングで話題を呼んだ「kitoki」など、ユニークな製品が並び、活気にあふれていたJAPAN TECHのパビリオン。
Makuakeとして出展していたプロダクト。左がキングジムのE-Inkを使った手書きノートパッド「Kakumiru」、右はライオン美容機器「VISOURIRE」。
撮影:伊藤有
一方、エウレカパークのJ-Startupパビリオンにほど近い位置にもうひとつ、日本のスタートアップグループとしてパビリオンを構えているのが「JAPAN TECH」だ。
こちらはCESを主催するCTA(Consumer Technology Association)のメンバーで、企業のCES出展をサポートするクリエイティヴ・ヴィジョンを中心に大広、フィラメントの3社が主催するもの。
2018年、日本のスタートアップ支援を掲げて、JAPAN TECHとしてCESに初出展したが、当時はエウレカパークとは別の会場で立地も悪く、出展者からは思うような成果を得られなかったとの声も聞こえた。
2019年は早くからエウレカパークへの出展を決め、6月には東京、大阪で説明会も開催。クラウドファンディングのMakuakeが支援するプロダクトなど、7社が参加している。
エウレカパークへの「引っ越し」は功を奏したようだ。パビリオン内では出展者によるトークイベントも開催されるなど、2018年とは打って変わり活気に満ちていた。2018年、2019年と連続参加した出展者に話を聞いたところ、初日にして用意した配布物が足りなくなるほどの盛況ぶりに驚いているという。
J-Startupパビリオンでのプロモーションが大成功した1社、GROOVE X。LOVOTのかわいさは、万国共通で伝わったようで、各国のメディアから取材を受けていた。
撮影:伊藤有
辛口な表現だが、2018年までエウレカパークにおける日本の存在感はほぼないに等しく、日本の取材陣としてはなんとも寂しい状況だったが、今年はまったく印象が変わった。エウレカパーク内の中心部とは言えない立地ながら、J-Startup、JAPAN TECHとも多くの来場者を迎え、スタートアップ企業にとっても大きなアピールの場となったようだ。
CESでは出展の実績が翌年の立地を左右することから、2020年はエウレカパークのさらに目立つ場所で、日本のスタートアップ企業が輝く姿を見られるよう期待したい。
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(文、撮影・太田百合子)
太田百合子:フリーライター。パソコン、タブレット、スマートフォンからウェアラブルデバイスやスマートホームを実現するIoT機器まで、身近なデジタルガジェット、およびそれらを使って利用できるサービスを中心に取材・執筆活動を続けている。
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